2006年9月26日(火)「しんぶん赤旗」

メディアも注目

米国批判の広がり


 今年の国連総会一般討論(十九―二十九日)は「反米主義が高まった」として各国メディアで注目されています。メディアの関心は、ブッシュ米大統領を「悪魔」と非難したベネズエラのチャベス大統領や、米国の核兵器・戦争政策を真正面から批判したイランのアハマディネジャド大統領の演説に集中しました。これらの発言の土壌には、ブッシュ政権の横暴な対外政策の深刻な行き詰まりや、国際世論の圧倒的な批判、それらを背景とした非同盟運動の再活性化があります。

 「この一年間、いわゆる七十七カ国グループと先進国、特に米国が国連で両極化する雰囲気が強まった。憎悪の強まりはごく最近、ハバナで開かれた非同盟運動の会合で暴露された」―米国連協会のウィリアム・ルアーズ会長は一般討論前にこのように述べ、九月十一日からキューバの首都ハバナで開かれた非同盟首脳会議での議論が国連総会での論議にどう反映されるかに注目しました。

 討議が始まると、同氏の予想通り米国批判が相次ぎました。保守的論調の米紙ウォール・ストリート・ジャーナル社説(二十二日電子版)は、イラン、ベネズエラ両大統領の演説を「大言壮語だとして簡単に片付ける」ことに警告。特にイラン核開発問題で「国連での努力は(イランでなく)米国を説得することに向けられている」現実に目を向けるべきだと述べています。

 ワシントン・ポスト二十四日付は、イラン、ベネズエラ両大統領の「言葉はきついものの、それらは多くの点で、他の多数の世界の指導者たちが信じていることを大胆に表現したにすぎない」と指摘しました。

 国連本部発ロイター通信は二十二日、両国にとどまらず、「トルコやイタリアのような米国の忠実な同盟国」までもが「単独行動主義でなく多国間協力主義を強調」して米国をけん制したことに着目しました。

 米紙ロサンゼルス・タイムズ(二十二日電子版)は、「国連での反米発言のほとばしりは、米国に対する怒りが、どれほどまでに、一九八〇年代以来みられなかったような形で発展途上世界を団結させているかを示している」と米政府当局者らが受け止めていると紹介しています。

 同紙によれば、ある米政府高官は、「被抑圧者対抑圧者という意識が新たに現れている」とし、「米国への嫌悪が共通して抱かれており、それが第三世界の連帯を生んでいる」と語りました。(坂口明)


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