2006年9月26日(火)「しんぶん赤旗」
国連総会一般討論演説
米国の孤立浮き彫り
広がる“国連中心の平和秩序を”
【ニューヨーク=鎌塚由美】十九日から始まった国連総会の一般討論演説では、各国から国連を中心とした多国間協力を強調する声が相次ぎました。それは国連を無視してイラク戦争に突き進んだ米国の孤立を浮き彫りにするとともに、横暴な覇権主義や戦争に反対して国連を中心とする平和の秩序を強化しようとの声が世界に広がっていることを印象づけています。
国連を無視して始められたイラク戦争の破綻(はたん)が日増しに明らかになるなか、ブッシュ米大統領の演説はむなしく響きました。同氏はアフガニスタンやイラクで選挙による政権が誕生し、「広い中東地域で明るい未来が定着し始めている」と強調しました。
イラク戦争破綻
ところがイラクの状況については前日にアナン国連事務総長が、治安悪化で「国家崩壊の危機」にあると警告したばかり。アフガニスタン情勢については、同国のカルザイ大統領が、テロがやまず「経済発展を脅かしている」とし、テロ事件数が逆戻りして増えていると述べました。
米国批判を正面から展開したのはベネズエラのチャベス大統領、イランのアハマディネジャド大統領らです。アハマディネジャド氏は、核兵器政策やイラク、パレスチナ、レバノン問題などで米国を批判。安保理常任理事国である米英両国の戦争を阻止できない現在の国連の改革を訴えました。
エジプトのアブルゲイト外相は、「民主主義的政策や人権、政治改革の達成は、われわれも深い関心を抱いているが、一部の国は軍事力でその概念を押し付けようとしている」と語り、米国の「民主主義」押し付けに反発しました。核兵器問題でも、「昨年は広島・長崎の悲劇から六十周年だった」が、「一部の国は依然として核兵器保有に基づく力と支配を信じている」と批判しました。
マレーシアのアブドラ首相も、他国を「ならず者」「悪」と呼んでいては「対話は必ず失敗する」と指摘。「そのような呼び方は、深刻な問題で平和的な解決策を見いだすための真剣な交渉に取り組まない口実となることは言うまでもない」と述べ、ブッシュ政権の姿勢を批判しました。
国連役割発揮を
オーストラリアなど一部の国がイラク戦争支持の演説をしたものの、ブッシュ政権の政策を正面から擁護する声は出ず、国連のいっそうの役割発揮を求める発言が相次ぎました。
ボリビア初の先住民出身の大統領となったモラレス大統領は、「今世紀は人々の世紀であり帝国主義の世紀ではない」と指摘。「覇権的政策が地球を破壊している」とし、「国連は今世紀を生命・人々の世紀とするために役割を果たすべきだ」と強調。「人権を尊重するならイラクからの撤退を」と主張しました。
チリのバチェレ大統領は、「国際法と国際機構によって、より公平で統合した世界を実現できる。国連はその特別の手段だ」と語りました。
ポルトガルのソクラテス首相は、国連は「過度の複雑性、時間のかかる政策決定プロセスや官僚主義」といった問題点が指摘されているが、「国連が決定的役割を果たす多国間主義にとって代わるものはないことをわれわれは学んできた」と指摘。「多国間主義こそが、平和と開発の根本的価値をよりよく前進させる道だ」と語りました。
イラク戦争を米国とともに推進してきた米同盟国の英国のベケット外相でさえ、演説で「テロリズム」に言及したのは「イランはテロリスト支援をやめよ」という部分のみ。米国が背を向けてきた地球温暖化問題への取り組みを中心テーマとし、「京都議定書以降に向けて議題を前進させる用意をしなくてはならない」と力説しました。

