2006年9月26日(火)「しんぶん赤旗」

主張

改正均等法省令

一歩でも実効性あるものに


 改正された男女雇用機会均等法の来年四月の施行にむけて、省令や指針の検討がすすめられています。あらたにもりこまれた間接差別の禁止などについて、その内容、範囲を具体的にどう定めるのかが、大きな焦点となっています。

国会審議生かしてこそ

 今回の改正で、男女の性による直接的な差別に加え、結果的に一方の性に不利になる間接差別も禁止されたことは、一歩前進でした。国連からの二度にわたる改善を求める勧告や女性の運動を反映したものです。

 しかし政府は、財界・大企業のつよい反対の意向にそって、国際的にも例のない、間接差別禁止の対象を限定する仕組みを持ち込みました。

 間接差別を三つのケース(募集・採用の際に身長・体重・体力を条件にする、総合職の募集・採用の際に全国転勤ができることを条件にする、昇進・昇格の際に転勤経験があることを条件にする)だけに限定し、規制を弱めたのです。これに対し、多くの労働組合、女性団体などからきびしい批判の声があがったのは当然です。

 国会審議でも、各党から懸念が指摘され、日本共産党国会議員団は、職場の実態から、転勤経験だけでなく、今後の全国転勤を昇進の条件にしている実例も示し、政府案では是正されない多くの差別が残ることを追及しました。さらに間接差別を限定せずに禁止する修正案を野党共同で提出してたたかいました。

 こうした結果、国会の付帯決議に、何が間接差別にあたるのか省令で策定する際には、国会審議などを「十分尊重」し、間接差別は「省令で規定するもの以外にも存在しうる」もので機動的に「追加、見直しを図る」ことなどが明記されたのです。

 しかし、現在検討中の省令・指針案は、既定方針どおりに、規制の対象を三つだけにとどめるものとなっています。国会審議をないがしろにしています。しかもこの三つでも、“広域に支店支社があり組織運営上、転勤が必要”など企業の主張が認められれば対象にならないという“逃げ道”まで用意されています。

 省令・指針案に対して国民からの意見募集もおこなっていますが、これを形だけにせず、国会審議・付帯決議とともに、正面からくみ取って再検討すべきです。職場から声をあげ、差別の実態や切実な願いを反映させましょう。

 今回の改正では、妊娠・出産による解雇や不利益取り扱いの禁止、セクシュアルハラスメント防止で規定が強化されるなど、一定の前進がありました。五年後の見直しも盛り込まれています。

 しかし均等法の施行から二十年がたった今も、男女の賃金格差が65・9%、パートも含めれば男性の賃金の半分と、先進国で最も遅れた男女差別が残されたままです。平等への歩みはあまりに遅すぎます。

五年後の改正待たずに

 今回改正の前進面を活用するとともに、五年後を待たずに、早急に間接差別の範囲の見直しをはじめ、改善をはかることが必要です。さらに、ヨーロッパでは当然となっている強力な救済機関や罰則の設置など、実効性を高める抜本的な改正を求めて運動をひろげましょう。

 パート法の見直しも審議会で始まっています。女性労働者の四割を占めるパート労働者の平等な待遇をパート法に明記させていくことも急務となっています。日本共産党は、雇用における男女平等の前進へ、ともに奮闘する決意です。


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