2006年9月25日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

医療費無料化

中学3年まで


 各地で住民から「医療費の負担が重い」「子どもの医療費自己負担の無料対象をひろげてほしい」と切実な声が日本共産党に寄せられています。この声にこたえるため日本共産党は住民とともに取り組んでいます。その中から中学校3年生まで医療費無料へ踏み出す宮城県女川(おながわ)町と東京都世田谷区のリポートを紹介します。


 宮城・女川町 

若者定住、子育て支援

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 宮城県女川町は二〇〇七年度から、自己負担が無料になる乳幼児医療費助成の対象を、現行の未就学児から、中学三年生まで引き上げ拡大する方針を決めました。町独自の少子化対策として制度の充実を目指します。

 町の助成実績は、〇五年度で四百四十九人を対象に約千二百五十万円(内、県補助が百八十万円)でした。町の試算では拡大する助成対象を小中学生約八百人とし、新規の町単独支出を約二千万円と見込んでいます。

 女川町は原子力発電所の立地自治体として、今年で二十二年になります。県内で唯一、地方交付税の不交付団体でありながら、人口流出に歯止めがかかりません。一九八〇年当時一万六千人ほどだった人口は、現在一万一千人を割り、県内一人口減少の激しい自治体となっています。

 日本共産党女川町委員会は七月に、町内三千五百世帯を対象に、女川民報とアンケートの全戸配布を行い、アンケートには百九十件の回答が寄せられました。

 「くらしが大変」「税や医療費の負担が重い」などの、切実な声が多数ありました。また、子育て中の女性からは、「子どもはたくさん欲しいが、お金が無い。産むまでのことだけでなく、子どもの義務教育が終わるまでのことを、もっと考えて欲しい」など、具体的な意見もびっしり書き込まれています。子育て支援の項目では、医療費の無料化制度の拡充がトップをしめています。

 女川町は昨年四月の“平成の大合併”にくみせず、自立の道を選択しました。今後の最大の課題は、いかにして人口流出に歯止めをかけていくのかです。若者定住策や子育て支援など、くらしやすい町づくりとしての、独自の施策が重要となっています。

 日本共産党は、乳幼児医療費の拡大について、この間、若者定住策や子育て支援などと併せ三回、議会で取り上げてきました。昨年六月議会での町長答弁は「時代の流れとして認識、検討の余地があるのではないか」というものでした。それが今回の九月議会では、「来年度から導入する」という明快な回答でした。町当局の説明では、「小学生を飛び越えて、という議論もあったが、町長の強い意志があった。小中学生の医療費といっても、さほど大きな財政負担にならない予測だ。安心して子育てできる環境づくりとして、位置づける」というものでした。

 県内での中学生までの拡大は、七ケ宿町、色麻町に次いで三番目の自治体となります。女川町は県の制度見直しの動向を見ながら、〇七年度当初予算への計上を目指し、具体的な検討に入っています。(女川町議 阿部律子)


 東京・世田谷区

粘り強く実現、次は小児救急

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 東京都世田谷区は、今年の十二月一日から子どもの医療費助成(所得制限なし、小学校三年生まで無料)を中学校三年生まで拡大します。

 助成対象となる範囲は、健康保険などの保険診療部分の入院費、通院費、食事療養費です。区は、対象拡大実施の十二月一日までに、小学校三年生までの児童と同じ「子ども医療証」を小学校四年生から中学校三年生に交付します。

 新日本婦人の会などが世田谷で乳幼児医療費無料化を求める運動をはじめたのが、今から三十六年前です。日本共産党はこの運動の最初から一緒に取り組み、三十回を超える議会質問などをして、一貫して子どもの医療費無料化の実現・拡充を求めてきました。

 一九七二年には、新日本婦人の会の出した「乳幼児医療費無料化を求める請願」が採択されました。そして九二年には、〇、一歳児の医療費無料化が実現しました。その後も粘り強く運動に取り組み、対象年齢の引き上げ、所得制限もなくすなど、すこしずつ拡充がされてきました。二〇〇四年には、小学校三年生まで対象を拡充することができました。

 しかし東京都二十三区の中には、すでに中学三年生までの医療費を無料にしている自治体もあり、〇五年からは、「世田谷区でも、義務教育終了の中学三年生までの医療費を無料に」と新たに署名をはじめました。党区議団は今年六月議会での質問に続き、六月に区長への申し入れ、八月に再度補正予算への緊急要望の実現を迫ってきました。

 小学校五年生の子どもを持つ母親は、この知らせに、「本当にうれしい。給料日前で、子どもの具合が悪いのに、すぐに病院に連れて行けなかったことがあったけど、これからは安心して子どもを病院に連れて行けます」と声を寄せました。

 世田谷区は、人口八十四万人の区ですが、小児救急医療が不足しています。深夜の救急という最も深刻なときに、区内唯一の小児救急を行っているのは国立成育医療センターたった一カ所です。日本共産党区議団は、さらに小児救急医療の拡充にも取り組んでいます。

(世田谷区議 里吉ゆみ)


世田谷区―子ども医療費無料化・拡充の歩み

 1972年 区議会に乳幼児医療費無料化を求める請願(採択)

     行政への要請行動続ける

 1992年 0、1歳児の無料化実現

 1993年 区議会に拡充を求める請願(継続審議)

 1994年 3歳未満児までに拡大

 1996年 拡充求める請願 所得制限の撤廃実現 以後、毎年区に要請行動

 2004年 小学校3年生まで拡大

 2005年

  中学生までの拡大求める署名開始。区に要請

 2006年 中学校3年生まで拡大


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