2006年9月23日(土)「しんぶん赤旗」

庶民大増税 なぜなぜ問答

財源論編14

Q“金持ち増税”はやる気を奪う?


 所得税と住民税をあわせた現行の最高税率は50%です。これに対して「がんばって稼いでも半分税金で持って行かれたら、やる気を失ってしまう」という意見があります。

 「江戸時代でも五公五民(=土地の収穫の半分を年貢に納め、半分を農民の収入とすること)だった。これ以上は高くできない」という人もいます。どう考えたらいいでしょうか。

実負担は

 誤解している人が多いのですが、最高税率50%が適用されるからといっても、必ずしも「半分持って行かれる」わけではありません。最高税率が適用されるのは、課税所得千八百万円超の人ですが、その場合でも、50%の税率がかかるのは千八百万円を超えた部分についてだけです。残りの部分については、もっと低い税率が適用になります(たとえば、課税所得が九百万―千八百万円の部分については、所得税30%、住民税13%で、計43%)。ですから、実際の税負担率は50%より低くなるのです。

 かつて(一九八三年以前)、所得税の最高税率が75%という時代もありました。この時も、所得のすべてに75%がかかったわけではなく、十九段階もの細かい税率段階が決められており、これが順番に適用されていました。ですから、最高税率が適用される年収一億円の人でも、所得税は五千四百万円くらいだったのです。

ごく少数

 現行の税率による実際の負担率を計算したグラフを見てください。年収三千万円台(大臣や日銀総裁クラス)でも30―35%くらい、年収五千万円(総理大臣より多い年収)でも37・4%です。負担率が50%に近くなるのは、年収が十億円くらいある場合です。こんな人は、ごくわずかしかいません。

 かりに、最高税率を九九年に引き下げられる以前(所得税50%、住民税15%)に戻したとしても、年収三千万円くらいまではわずかしか負担率が増えません。これで「やる気をなくす」などということはありません。

 負担率が10%以上増えるのは、何億円もの収入がある場合だけです。年収十億円なら、税金を六億円納めても、まだ四億円も残ります。少しくらいぜいたくをしても、使い切れないような金額です。(つづく)

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