2006年9月19日(火)「しんぶん赤旗」

安倍長官

総裁選控え3億円

05年政治資金報告 前年比8000万円増

中身は従来型 パーティー・企業献金


 自民党総裁選に出馬している安倍晋三官房長官(衆院山口4区)が、昨年(2005年)の1年間に3億円を超すカネを集めていたことが、わかりました。04年より約8000万円も増やし、資金面でも総理総裁の座をめざしていたことをうかがわせるものとなりました。


 八日付官報で公表された総務省所管分に加え、本紙が情報公開請求で入手した山口県選管分の〇五年の各政治資金収支報告書でわかったもの。みずからが支部長の政党支部や資金管理団体、関連政治団体間のやりとりなどを除いた“純収入”です。

 安倍氏が支部長を務める自民党山口県第四選挙区支部は、政治家個人では受け取れない企業・団体献金の窓口=財布になっています。地元、山口県下関市、萩市などの建設会社や医療法人、福岡市の証券会社など二百二十二団体・企業から五千六百六十万円を集めています。前年より団体数で一・三六倍、金額で一・四四倍です。

 日本ユニコム(百万円)、豊商事(五十万円)、オリエント貿易(三十六万円)といった、消費者被害が問題になっている商品先物取引の関係会社も含まれています。

 同支部は、自民党本部から八回にわたって計二千六百万円の交付金を受け取っています。同支部の政党助成金使途等報告書によると、このうち、五回計千八百万円は国民の税金である政党助成金です。政党助成金は国民一人あたり二百五十円の税金が思想・信条や政党支持にかかわらず強制的に献金させられるもので、七万二千人分の税金を安倍氏は受け取っていたことになります。

■一晩で5200万円

 安倍氏の資金管理団体「晋和会」は、「政経セミナー」という名目で政治資金集めパーティーを四回開催、じつに一億三千七百万円を集めました。赤坂プリンスホテルなどの会場使用料、案内状作成費などの経費の合計は、わずか千五百万円たらずで、一億二千万円以上の“実入り”がありました。四回のうち、官房長官就任後の昨年十二月に開いたパーティーでは、一晩で五千二百万円も集めました。

 「安倍晋三後援会」も、「新春の集い」名目で千四百九十万円を集めたほか、機関紙「フロンティア」発行にともなう広告料収入が二百八十九万円あります。

 安倍氏は、自民党の社会部会長や衆院厚生委員会理事を務めた厚生労働族。政治団体からの寄付は、「晋和会」に二千三百二十五万円、「第四選挙区支部」に八百九十万円などですが、日本医師会の政治団体「日本医師連盟」(九百五十万円)や、製薬業界の政治団体「製薬産業政治連盟」(四百万円)などが、〇四年より額を増やして献金しています。自民党旧橋本派への一億円ヤミ献金事件の日本歯科医師連盟も献金を再開、三百万円。あらたに全国美容政治連盟(百五十万円)、日本精神科病院政治連盟(二百万円)などと幅も広がりました。

 日本医師連盟、製薬産業政治連盟は、晋和会のパーティー券もそれぞれ計百八十万円分、百五十万円分購入しています。

■わいろ性資金

 一方、個人献金は、集めたカネに占める割合は1%前後と低いものの、〇四年の六百八十九万円から三千百四十五万円と、四倍以上に増やしています。個人献金といっても、おもに会社役員です。「第四選挙区支部」の党費も二千二百三十八人、二百三十一万円から、三千十四人、三百三万円に増えています。

 「美しい国へ」などといっていますが、わいろ性のある企業・団体献金や、資金集めパーティー、税金などに大きく依拠した従来型政治家の姿がうきぼりになりました。

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