2006年9月18日(月)「しんぶん赤旗」

主張

敬老の日

高齢者はだまっていられない


 きょうは敬老の日です。高齢者のみなさんの長寿をお祝いし、いっそうの健康と幸せを、心からねがいます。

長寿は人類の大成果

 六十五歳以上の高齢者は増え続けています。一九五〇年と二〇〇五年を比べると、六・一倍になっています。今後、二〇五〇年には今の一・四倍になると推定されています。

 世界でも、高齢者は急増しています。過去の約五十五年間に三・六倍に増え、今後約四十五年間に今の三・一倍になると予想されています。欧米などの「先進地域」でみると、今後同じく今の一・七倍に増加するとされています。

 日本では、自民党政府が、盛んに「少子高齢化」といって、社会保障削減の口実に使います。これは間違っています。少子化は是正されるべきですが、高齢化は、人類の大きな成果であり、祝福すべき世界の流れです。

 長寿は、戦争と両立しません。世界でも日本でも、高齢者が増えているのは二十世紀にかちとられた戦争違法化と人権尊重の流れによるものです。日本でも、過去の侵略戦争の反省の上につくられた日本国憲法による平和と民主主義への転換があったからです。憲法九条を改悪して、日本を海外で戦争する国にする動きがあるもとで、高齢者のみなさんが、重い戦争体験を若い世代に語り、「九条の会」などに積極的に参加していることは力強い限りです。

 国連は、高齢者の増加に対応して、高齢者の力を「将来の発展の強力な源泉」と位置づける方針を出しています。自立、参加、ケア、自己実現、尊厳という「高齢者のための国連原則」の上にたって、高齢者の技能と経験、知恵を社会に生かそうという方向です。

 日本でも、多年にわたる蓄積をいかんなく発揮して、高齢者の多くがさまざまな社会活動に参加しています。自民党政治による社会保障の連続改悪を告発するとりくみも、その大きな分野です。

 全日本年金者組合の無年金・低年金者の証言集『ふつうの暮らしがしたい』を読むと、胸がつぶれる思いです。

 三十八年間日雇いで働いてきた七十七歳の女性が受給している年金は国民年金で月額六万円。うち家賃が四万五千円で光熱費を払うと年金が飛んでしまい、貯金を取り崩して生活しているが、「もし病気になったら、本当に大変だと思います」。また、低年金を補うために生活保護を受けている七十七歳の女性は、老齢加算の削減で受給額が減ったため、交通費をいっさい使わず、往復三時間を徒歩で通院。「消費税が上がったらどうなることか」と不安です。

 無年金をなくし、低い年金の底上げを行うために、国連が日本政府に勧告している「最低年金を公的年金制度に導入」することが必要です。

声をあげ元気に行動

 自民党、公明党政権は、それには手をつけず、将来にわたる給付減と負担増、基礎年金の国庫負担引き上げの財源としての大増税を伴う年金大改悪を行いました。

 この大増税が、今年夏実行され、高齢者の怒りが爆発しました。住民税が数倍になり、介護保険料や国民健康保険料も上がる事態に、「なぜこんなことに」「どうしたら、いいのか」と。

 だまっていたら、老後の生活を守ることができないと、多くの高齢者が感じたことでしょう。声をあげ、行動することが、いま大切です。


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