2006年9月16日(土)「しんぶん赤旗」

自民党 総裁選の風景

街頭演説 冷めた雰囲気

聞いて「悲しくなった」


 「ある程度予想はしていたが、これほど聴衆が少ないとは…」

 札幌市の大通公園で十三日開かれた自民党総裁選の街頭演説会。同党北海道連関係者は終了後こうぼやきました。

隔世の感が漂う

 主催者発表は三千人ですが、地元テレビ局の見立てはその約半分。昨年の総選挙時に小泉首相がおこなった演説会では、同地に約一万人が集まったことと比べると隔世の感すらします。

 北海道新聞は翌日、「会場には冷めた雰囲気が漂った。無関心に通り過ぎる市民の姿も目立ち、観衆からは『盛り上がらないなあ』とため息が漏れた」と伝えました。

 あるマスコミ記者は、「小泉さんの時は『自民党をぶっ壊す』のスローガンが国民に大受けしたが、今度の三候補には国民をひきつけるものがほとんどない。この五年で自民党の足腰もかなり弱っている。小泉人気を一皮むけばこんなもんでしょう」と解説します。

 九日の東京・JR秋葉原駅前を皮切りに、十月に衆院補欠選挙が行われる大阪9区、神奈川16区でも行われた街頭演説会は「投票権をもたない国民も巻き込んだ総裁選にする」(臼井日出男選管委員長)という世論喚起を狙ったものです。

 神奈川県厚木市で開かれた十四日の街頭演説会。「総裁候補三人ともいい。できればそろって内閣の中心に就いてくれればいい」(三十六歳の男性・会社員)などの声が聞かれる一方、疑問、注文も相次ぎました。

 「実際に何をやろうとしているのか…。テレビは安倍さんをもちあげすぎ。人気のわけもそこにあるのでは」(十八歳の短大生の男性)

 「消費税は所得が低いほど重税感があるので反対だ。年金生活なのでいろいろきつい。ヨーロッパのように生活にかかわる部分を除外するなら分かるが、そうでないなら増税には反対だ」(六十代の年金生活の男性)

 札幌では、三候補とも格差にあえぐ地方の不満にまったく応えず、演説を聴いた市民からは怒りにも似た感想が聞かれました。

 「これまでの私の人生を否定されたような気持ちです」

 こういうのは札幌市に住む無職の男性(58)。空知地方で米作りに励んでいましたが、米価下落で展望を失い、妻が亡くなったのを機に二年前に札幌に移りました。日雇いの土木作業に就いたこともありますが、現在は失業中です。

 「どの候補も日本農業をだめにした責任には一切ふれず、農業が衰退したのは農家の努力が足りないといわんばかりで。これまで自民党に入れてきましたが、こんな首相候補しか出せないような政治のもとで農業をやってきたのかと思うと、ただただ悲しくなります」

 総裁候補は、地方経済の活性化の問題でも、「イノベーション」、「絆(きずな)」、「地域の特性を」などの掛け声に終始しました。

消費が冷え込む

 大学二年の男子学生(20)は、「安倍さんが人気だと聞いてどんな人か実際に見てみたかった」と演説会に参加しましたが、「学生の最大の心配は、ちゃんと就職できるのかということです。でも、どの候補からも、仕事確保への具体的な政策は聞けませんでした。がっかりです」と語りました。

 中堅建設会社の役員の男性(52)は、「経済政策で強いていえば谷垣さんだが、消費税10%はいただけないよ。消費がいっそう冷え込むだけでしょう。私の会社もここ数年で売り上げが約三割減った。どの候補からも中小の公共事業をどうするかの具体策は見えない」と語りました。

 これらの声の背景には、小泉「構造改革」によって地方が被った深刻な実態があります。

 北海道では、米の輸入自由化、市場原理導入のなかで、農業戸数が二〇〇〇年から〇五年までに約一万戸、農家人口は約五万人それぞれ減少しました。公共事業では、一部大都市の大型事業など大手ゼネコン向け公共工事は温存、拡大する一方で、生活関連など中小企業向け事業をバッサリと削りました。雇用における格差も重大で、北海道における非正規労働者の比率は、この十年間で11ポイントアップの約39%に達し、全国平均よりも4ポイント高くなっています。

 「赤旗さんに話すことなんかない」

 演説会開始前に声をかけた男性(55)はこういって取材を拒否しましたが、演説が終わり偶然顔を合わせると、向こうから話しかけてきました。

 「去年、三十年間勤めていた建設会社を首になった。いまは失業中だ。無駄づかいばかりして福祉や年金を削るいままでの政治をどう変えるのか聞きにきてみたが、新しい内閣で政治が変わる気がまったくしない。もう自民党には入れないが、民主党がどれだけ自民党と違うかよくわからん。共産党がどれだけ説得力をもって国民に政策をアピールするか注目しているよ」(総裁選取材班)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp