2006年9月16日(土)「しんぶん赤旗」

米下院

靖国参拝 悪習やめよ

「遊就館の歴史観は誤り」


 【ワシントン=鎌塚由美】米下院外交委員会は十四日に日本と近隣諸国に関する公聴会を開き、小泉首相の靖国神社参拝に反対を表明してきたハイド委員長が、靖国神社の遊就館の歴史観を批判、是正を求めました。他の出席者からも、小泉首相や後継者の靖国参拝への厳しい批判が飛び出しました。

 太平洋戦争に従軍した経験を持つハイド議員(共和党)は、遊就館の展示が日本の戦争について「西洋帝国主義の支配から解放するためだったと若い世代に教えているのは困ったことだ」と主張。「この博物館(遊就館)で教えられている歴史は事実に基づいていない、是正すべきだ」と語りました。

 ナチスのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)の生存者であるラントス議員(民主党)もハイド議員の主張に呼応。「日本が過去の歴史に正直に取り組んでいないことは、日本自身にとって大きな危害となっている」と述べ、「日本の歴史健忘症の最も顕著な例が、日本首相の靖国参拝である」と指摘しました。

 同議員は、A級戦犯をまつっている靖国神社への首相の参拝は、「ドイツのヒムラー(ナチス親衛隊総司令官)、ゲーリング(ナチ政権下でヒトラーに次ぐ実力者)らの墓に花輪を置くに等しい」とも語りました。

 また、日本の次期首相への「メッセージはシンプルだ」とし、「戦争犯罪人に敬意を表することは道徳的に破綻(はたん)している。この習わしをやめなければならない」と述べました。

 同議員は、侵略の歴史を美化する「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書を日本政府が検定合格させたことにも言及。「南京大虐殺はなかった。日本は他のアジア諸国を帝国主義から守るために開戦しただけだ」とする教科書を「歴史修正主義」だと表現。将来の日米関係にとっても、「日本の超国粋主義者を除くすべての人々にとって、率直に公然と過去と向き合う日本の姿勢が最高の利益であることは明白だ」と語りました。


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