2006年9月13日(水)「しんぶん赤旗」

「グレーゾーン金利」とは?


 〈問い〉 サラ金業界でいわれる「グレーゾーン金利」とはなんですか? 政府の法案は貸金業者側に有利だとの報道がありますが、日本共産党はどうすべきだと考えていますか?(宮城・一読者)

 〈答え〉 サラ金の貸出金利で、利息制限法の上限金利(元本により年15〜20%)と、超えると刑罰の対象になる出資法の上限金利(年29・2%)との間が「グレーゾーン(灰色)金利」です。

 法的には無効とされる利息ですが、サラ金やクレジット会社は、任意に支払うなど一定の条件を満たす場合に限り有効な規定を悪用し、出資法の上限すれすれの「グレーゾーン金利」で融資してきました。この異常な高金利こそ、破産、自殺など今日の深刻な多重債務問題を生み出している根源的要因になっています。

 高金利引き下げを求める世論の広がりと、最高裁でグレーゾーン金利を無効とする判決が相次いだことを背景に、議論を重ねてきた金融庁の貸金業制度に関する有識者懇談会では、多重債務問題を債務者保護の立場から早期解決する方向で、金利引き下げと「グレーゾーン金利」撤廃が既定方針となっていました。その後、与党・金融庁の間で制度改正の検討作業が行われ、関連法案が秋の臨時国会にも提出される予定です。

 ところが、金融庁が自民党に示した政府案は、これまでの議論に背くサラ金業界寄りの高金利温存の「特例」を盛り込んだ大変な「骨抜き」になっており、被害者団体や多くの国民、マスメディアから怒りが噴出しています。

 「グレーゾーン金利」を撤廃するとしていますが、実際は施行まで1年、移行期間3年、移行期間までの4年間はグレーゾーン金利を温存します。さらにその後最長5年間に、50万円1年以内の「少額短期特例」、5百万円3カ月以内の「事業者向け特例」を、いずれも年28%もの高金利で認めています。特例金利の水準は今とほぼ同じです。結局、最大9年間も今と同じ高金利を合法化することになります。

 サラ金の一件あたりの貸し付け平均は40万円です。特例が特例でない事態になります。違法とみなされる「グレーゾーン金利」を長期に存続させ、「特例高金利」でお墨付きを与えることは、明らかにサラ金業界の言い分に沿った改正です。問題の解決にはなりません。

 少額・短期の生活資金を必要とする低所得者層や中小零細事業者に対しては、低利の公的融資制度の拡充などセーフティーネットの施策で対処するべきです。

 政府は、異常な高金利の被害を絶つ社会の要請に沿った、例外のない実効ある高金利引き下げの法改正に踏み出すべきです。(江)

 〔2006・9・13(水)〕


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