2006年9月10日(日)「しんぶん赤旗」

9・11家族の会 国際ネット設立

紛争解決 平和的に

協力し暴力の連鎖断とう


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(写真)9・11テロから5周年を前に米国の犠牲者家族の会とともに記者会見するジョディ・ウィリアムズ氏=8日、ニューヨーク(鎌塚由美撮影)

 【ニューヨーク=鎌塚由美】9・11同時テロの犠牲者家族で、暴力ではない問題解決を訴えてきた「平和な明日をめざす9・11家族の会」(ピースフル・トゥモローズ)は八日、ニューヨーク市内で世界各国のテロや戦争被害者とともに記者会見し、各国の組織で構成する「紛争の非暴力の解決をめざす」国際ネットワークを設立したことを明らかにしました。

 テロ事件五周年を前にして、「家族の会」は、世界各地から約三十人のテロ犠牲者家族や反戦・平和活動家を招き国際会議を開催。「市民の犠牲者に目をむけ、(暴力の連鎖を断ち切る)市民の解決策」をテーマに議論しました。

 設立宣言は、「われわれは、暴力と復しゅうのサイクルを断ち切るために力をあわせ、犠牲者の思い出と生き残った人々の尊厳を守ることに全力を挙げる」とし、世界各地での取り組みの知恵を生かし、暴力の根本原因に取り組み、「紛争を解決する最も効果的な戦略としての非暴力を促進する」と強調しました。

 会見では、米国をはじめ、イスラエルやパレスチナ、アフガニスタン、ルワンダ、スペインなどから、暴力の停止を求める訴えが続きました。

 日本からは日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の中山高光代表理事が、日本軍国主義による過去の侵略戦争によるアジアをはじめとする市民の被害について「日本人として謝罪したい」と述べ、「原爆投下による深刻な被害は六十一年たった今も続いていることを知ってほしい」と語りました。同氏はネットワーク設立は、被爆者たちにとって「大きな励まし」で、「新しい仲間たちと共通の努力を続けながら、核兵器も戦争もない世界を一日も早く実現するために奮闘したい」と決意を表明しました。

 南アフリカ共和国からは、アパルトヘイト(人種隔離政策)時代の国家テロによって両手を失ったマイケル・ラプスレイ神父が参加。同氏は、9・11テロ事件の実行犯に対し米国政府が行うべき「本当の復しゅう」は、「核兵器廃絶であり、国際刑事裁判所への参加であり、地球温暖化防止の京都議定書の批准であり、米国の皆保険制度の確立だ」と述べ、米政権の力の理論を厳しく批判しました。

 地雷禁止キャンペーンでノーベル平和賞を受賞したジョディ・ウィリアムズ氏も出席。犠牲者の家族は「平和の名のもとに(米国政府が)他国の罪のない市民を攻撃するための口実にされるのを拒否した人々」だと述べ、「暴力によらない平和な世界のために声を上げる勇気」をたたえました。同氏はブッシュ米政権を「テロとのたたかい」を口実に国民の市民的自由を奪い、戦争を促進してきたとして批判。国民生活をおざなりにし「毎月百億ドルを使い、イラクで内戦をつくり出すことが自由や民主主義だろうか」と語りました。


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