2006年9月10日(日)「しんぶん赤旗」

自民総裁選・街頭演説会 聴衆は

「改革」引き継ぐ一方で

“弱者に光”いわれても

戦前のようになっては、いや


 東京都千代田区のJR秋葉原駅前。九日夕、前日に告示された自民党総裁選に立候補した安倍晋三官房長官、谷垣禎一財務相、麻生太郎外相による街頭演説会が開かれました。聴衆はこの総裁選をどうみているのかを聞きました。


 「若いのに毅然(きぜん)とした安倍さんなら日本のために頑張ってくれると思う」(六十三歳の主婦)などの声が聞かれた一方、「小泉首相の何を引き継ぎ、どこを変えようとしているのかを知りたい」(二十歳の女子大生)、「三候補の政策の違いを理解したい」(三十五歳の男性会社員)などの声も。

熱気・勢いなし

 主催者発表で約一万人が集まりましたが、五年前に小泉純一郎首相が当選した当時のような人の輪が何重にも増えていった熱気、勢いは感じられません。逆に二階デッキにいた聴衆は、演説の最後には半数以下に減っていました。

 「総裁選は完全に上滑り」。こう言うのは偶然通りかかり、会場近くの喫茶店テラスで演説を聞いていた自営業の男性(56)。「安倍さんが人気のようだけど、その理由がさっぱりわからない。格差を広げた改革をしっかりひきつぐという一方で、弱者に光を与えるといわれても、そんなの矛盾だよ。イノベーションなどといわれてもさっぱりわからない」

 街頭演説会の直前、自民党本部でおこなわれた同党国会議員向けの演説会で安倍氏は、憲法「改正」に向けたリーダーシップの発揮をまっさきに表明。ところが、街頭では改憲のかの字にも触れずじまい。買い物ついでに演説を最後まで聞いていた主婦(36)は、「安倍さんは憲法を変え、愛国心を植え込もうとしているんですか。ソフトな安倍さんに好感をもってましたが、日本が戦前のようになってしまうのは絶対にいやです」と語りました。

給料よくならず

 地元・秋葉原在住の男性(68)は最近、長年営んでいた印刷業を廃業にしました。「若者客が増えて『世界のアキバ』なんて喜んでいる政治家がいるが、規制緩和で地元の小売店は次々つぶれた。これが資本主義社会というものなんですかね」とため息。政治ショー化した街頭演説を横目に、「総裁選といっても自民党内での選挙。“次の総理を選ぶ”と騒ぐのなら、総選挙をやって審判をあおぐべきじゃないか」。

 たまたま通りかかって演説に足をとめた神奈川・厚木市のメーカー営業の男性(28)も辛口評です。「三人の政策を聞いても一緒。小泉さんから変わろうとしているのはわかるけど…」。テレビで延々流れる総裁選報道をみて「なんか違うんですよ。景気がいいといっても働いている僕らの給料はよくならない。リストラが進んでサービス残業が増えているだけだから。安倍さんのいう再チャレンジって何やるんだろう」といいます。

 街頭演説が終わって東京・杉並区の自民党員の男性(70)はいいました。

 「『赤旗』さんか。ならおれの正直な気持ちを書いてくれ。年金、医療で年寄りをいじめるな、利権政治なんてまっぴらだよってさ」


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