2006年9月8日(金)「しんぶん赤旗」

サラ金業界 政界工作

自民23氏からパーティー券

金利下げ阻止狙う


 貸金業の貸付上限金利の引き下げ阻止をねらう業界の政治団体「全国貸金業政治連盟」(全政連)が二〇〇五年、自民党の政治家二十三人と各派閥のパーティー券を購入するなど資金提供をしていたことが、同年分の政治資金収支報告書などでわかりました。

 出資法の上限金利(年29・2%)をめぐっては、金融庁などが五日、高金利を存続させる案を与党に提示。「国民の声を裏切った」(クレサラ対協)と厳しい批判の声があがっています。

 収支報告書によると、全政連はパーティー券購入などにあてる「渉外費」に、計約千二百十七万円を支出。自民党議員二十三人(提供当時。現在は現職が自民十八人、国民新一人、落選・引退計四人)と自民党の五派閥などにパーティー券代を提供していました。

 提供先には、甘利明・政調会長代理(計三十万円)、西川公也・衆院法務委員会筆頭理事(計十万円)ら、業界団体誌などで高金利を支持する発言をしている議員もいました。両氏は貸金業制度に関する自民党内の議員連盟の世話人や幹事長を務めています。

 全政連はこのほか、民主党にパーティー券代二十万円を提供。公明党機関紙を計約百九万円分も購入していました。

 政界工作の原資となった収入では、「アイフル」の福田吉孝社長から百四十九万円、「武富士」の武井健晃代表取締役から同額の個人献金がありました。

 業界紙「日本金融新聞」によると、全政連の母体の「全国貸金業協会連合会」は七月、上限金利を29・2%に維持する“金利引き下げ阻止”の法改正活動をしていくと方針決定。全政連は、組織の役割を「立法を担う国会議員とのパイプを築き、磐石なものにしていく」(全政連資料)と位置付け、支出の五割超を渉外費にあてています。

 パーティー券購入の趣旨について、全政連の小倉利夫会長は「議員秘書から購入依頼があった場合に、お付き合いのため購入している」とこたえました。

 高金利引き下げ全国連絡会代表幹事の宇都宮健児弁護士の話 業界はカネで法案を買収しようとしているのではないか。金融庁などの案は九年間も高金利を温存する、改革の方向を逆行させるものだ。カネを出す業界の意向で、議員からの圧力があったり、影響があったとしたら問題だ。


■全政連がパーティー券を購入した主な自民党議員・派閥
(単位:万円)

甘利  明 30
柳沢 伯夫 20
竹本 直一 18
根本  匠 12
柴山 昌彦 10
西川 公也 10
山 崎 派 40
伊 吹 派 20
高 村 派 20
森   派 20
丹羽・古賀派 16


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