2006年9月6日(水)「しんぶん赤旗」

タイ南部爆弾テロ

軍司令官が対話提案

武装勢力側も歓迎声明


 【ハノイ=鈴木勝比古】タイ陸軍のソンティ司令官が一日、南部で続く爆弾テロ事件の解決に向けイスラム武装組織と対話を行う考えを表明し、一部イスラム武装組織が歓迎しました。


 タイ南部では最近、テロ事件が続発しており、タイ国民全体に危機感が強まっている中でのソンティ司令官の発言に歓迎の声があがっています。同司令官はタイで初のイスラム教徒の陸軍司令官です。

 同司令官は一連のテロの背景に「(武装組織による)独立国家を目指す意図がある」との警戒を示しながら、各武装勢力を統括している分離主義組織「パタニ独立統一戦線」と対話を行うため、どこにでも軍幹部を派遣すると語りました。

 この提案後、スウェーデンに拠点を置く分離主義組織「パタニ統一解放機構」が歓迎声明を英字紙ネーションに送りました。南部のイスラム教徒住民の間からも対話を望む声があがっていると伝えられます。

 タイ南部では二〇〇四年以降、爆弾テロや銃撃などが相次ぎ千四百人以上が死亡しています。タクシン政権は昨年七月、南部のヤラ、ナラティワット、パタニの三県を「非常事態地域」に指定しました。しかし、その後もテロはおさまらず、八月三十一日にはヤラ県の銀行の支店二十カ所で相次いで爆発が起き、一人が死亡、約三十人が負傷しました。

 タイ南部問題の政府への諮問機関である「国家和解委員会」(委員長=アナン元首相)は六月五日に首相に報告書を提出。地域言語であるマレー語の行政への導入、イスラム法の部分的な適用、地域住民参加の評議会の設置など「非暴力と対話、地域文化の尊重」を提案しました。政府内ではこの提案に「現実的でない」と反対意見もあると伝えられます。

 タイのイスラム教徒は人口の4%を占め、南部三県に集中しています。


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