2006年9月4日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

平和のためにわたしは歌う

自作CD販売し、国際支援活動

神奈川・高校3年生 廻田彩夏さん


 「平和のために私ができることは、歌を通してみんなに訴えること」―。神奈川県座間市在住の県立神奈川総合高校国際文化コースの三年生、廻田彩夏(まわりだあやか)さん(18)は、平和を訴えるオリジナルCDを今年、作りました。学内や地域で歌を歌い、話をする集まりを持つなど、さまざまな国際平和活動を続けています。(伊藤悠希)


 「大きな紙に描いた 青い地球の点にもなれないくらい 小さな僕らにできること、始めよう 今」(「The Colored Rainbow」)。CDから透きとおった歌声が聞こえてきます。「一人の力は小さいけれど、みんなそれぞれの力があって、それは絶対に力を持っている」――そんな思いを込めた廻田さん作詞作曲の歌です。

 廻田さんは、高校のゼミで「さまざまな国際平和活動と私にできること」というテーマを三年間、研究してきました。この歌は研究の集大成でもあります。

 「自分ができることは歌を歌うこと。日本から笑顔を発信したい」。ピアノは四歳から弾き、小学校高学年のとき、曲を作り始めた廻田さん。現在は友達四人と音楽活動をしています。「The Colored Rainbow」の歌詞は一気に書きあげました。

 学内(五月二十九日)や座間市(六月三日)で、平和活動を知ってもらう講演会を開いて歌を披露しました。各講演会にはそれぞれ七十人ほど集まりました。その後も反響があり小学校やほかの高校などで講演会をしています。

 ことし四月に高校の仲間ら十三人で立ち上げた国際協力グループ「For Smile Stage」のメンバーも講演会で貿易の不平等をテーマに劇を演じました。講演会では歌を歌うだけでなく、廻田さんがやってきた平和活動やどんな信念を持って活動してきたのかを話しました。

 オリジナルCDは廻田さんが所属するNGO(ピース・ウィンズ・ジャパン)のオンラインショップで販売しています。これまでに三百八十枚売れました。その収益はすべて寄付されます。NGOの活動や勉強を通して「世界には誰にも見てもらえてない国がまだまだある」ことを知ります。「そういう国に寄付を回したい」。廻田さんは活動の原点となった南米を支援していくという目標も持っています。

 十月に文化祭が開かれます。文化祭のテーマソングは毎年校内から募集され、昨年は廻田さんのバンドの曲が選ばれました。テーマ曲や英語版の「The Colored Rainbow」が収録されたアルバムを自分たちの団体から発売します。このCDもNGOに寄付するチャリティーCDになります。

 国際平和活動を実践するきっかけは中学二年生のときに始まったイラク戦争(二〇〇三年三月)です。「なぜ戦争を知っているおとなたちは止めようとしないの?」。友達三人に呼びかけて意見記入シートを配り、イラク戦争に対する意見を書いてもらいました。意見書は百枚以上集まりました。その意見書をまとめて冊子にしたものを横浜市や東京都町田市の街頭で配布。原動力は「殺し合いをとにかく止めたい」という思いでした。

 イラク戦争で日々伝えられる死者の数。子どもの被害の多さに気付きました。

 子どもの問題について関心が芽生えた廻田さんは中三の夏にリポート「世界の子どもたち」を出します。ストリートチルドレンは世界の子ども二十一億人のうち三億人いることを知りました。「ストリートチルドレンを生まない社会、減らす活動をしたい」と思うようになりました。

 日系ブラジル人のおばさんの「ブラジルでは彩夏のようにしっかりしてる子は高く売られちゃうのよ」という言葉はいまも頭に残っています。

 神奈川総合高校国際文化コースに入学。同じコースの仲間とは刺激を与え合う関係に。仲間の一人に手作りのストラップを売り、NGOに寄付したお金で、アフガニスタンに浄水場をつくった男子生徒がいました。その話を聞いたとき、反戦運動をしても戦争を止められなかった自分の“無力さ”を思い知らされました。「自己満足だったんじゃないのか」

 彼との出会いが、高校三年間研究することになった「さまざまな国際平和活動と私にできること」のきっかけとなりました。その研究の一年目に作った分析シートで募金活動、映像、歌、デモ、人文字、TV、メディアなど実際に行われてきた活動を書き出し、それぞれについてもたらされた効果を考え円グラフで表し、実証していきました。見えてきたものは、「どんな活動も大きさや形は異なっていても確実に力を持っている」ということでした。

 廻田さんにとっての「国際平和活動」とは「幸せに生活したいと願っている仲間に自然とあふれる笑顔で送れる生活を。そう願って行われる活動が国際平和活動」です。

 最近、自分のことを客観的に見られるようになってきました。絶対に譲れないものを真剣にやっている“まっすぐ”な自分の周りの反応を見て実感しました。「すごいことしたんだ」。これからどうなっていくのか、未知です。「市民の一人として今後も国際平和活動をしていきます。問題がなぜ起こるのか、問題の根本を絶つにはどうすればいいかを研究していきたい」


お悩みHunter

店長含め4人で営業 残業代出ない美容院

  美容院で働いています。店長を含めて四人。パソコンを使っての事務や店の宣伝は私一人でしています。そのため、カットの仕事が終わってからも遅くまでパソコンに向かいます。我慢してましたが、残業代も出ないしせめて手当をつけてほしいと思います。言ってもおかしくないですよね。(女性、24歳。埼玉県)

店長に法律の存在知らせて

  決められた労働時間を超えて仕事をすれば、その分の賃金を請求できるのは当然です。

 労働基準法三二条、三七条などは、労働者を一日八時間、週四十時間を超えて働かせることを禁止し、これを超えて働いた分について通常の賃金の25%以上、休日労働には35%以上の割増賃金を支払うことを使用者に義務づけています。

 ただし、あなたのような従業員が常時十人未満の美容(理容)院では、特例があり、一日八時間、週四十四時間が労働時間の上限となります(同法施行規則二五条の二)。

 これは最低基準ですから、仮に一日十時間労働という契約をしても、八時間を超えて働く義務はありません。例外もありますが、その導入には厳しい条件があります。ですから、原則として、あなたが少なくとも一日八時間を超えて働けば、その時間について、最低25%割り増しの残業手当を請求できます。

 ただ、店長さんも法律を知らないことが多いので、まず、あなたの労働実態や法律の存在を知らせ改善させることを考えてはどうでしょう。

 そのために、出退勤の時間や仕事内容を毎日メモすること、孤立しないよう他の美容師とよく話し合うことをおすすめします。それでも改善できない場合は、労働基準監督署や、ひとりでも加入できる地域の労働組合などに相談してください。


弁護士 岸 松江さん

 東京弁護士会所属、東京法律事務所勤務。派遣CADオペレーター、新聞記者などを経て弁護士に。好きな言葉は「真実の力」。


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