2006年8月27日(日)「しんぶん赤旗」

介護保険

サービス減 生活できず

民医連調べ 改悪後の困難事例集


 全日本民主医療機関連合会は、改悪介護保険法の実施後、必要なサービスが受けられないなど各地で噴出している問題を調査し、「困難事例集」をまとめました。

 事例集は、四月から始まった新予防給付や、「軽度者」(要支援1、2と要介護1の人)が電動ベッドなど福祉用具を保険で使えなくなる改悪による問題点を、具体的事例で明らかにし、制度の改善を国や自治体に提言することを目的にまとめたものです。

 全国の事業所から五月末―七月に寄せられた事例のうち、百六十一事例について分析しました。

 要介護度をみると、要介護1は、改悪前の九十一人が認定の更新後は三十一人に減少。「要支援」の人は、改悪前の四十四人から百十三人へと、二・五倍に増えました。

 事例集では、新しい認定システムのもとで、認定結果と本人の状態が乖離(かいり)している人が多いと記述。特に肺気腫など呼吸器系の病気や末期がんなど、新予防給付の利用が見込まれないと思われる人も「要支援」と判定されている問題を指摘しています。

 また、「訪問介護の回数や時間が減らされたために買い物や掃除ができなくなった」「デイサービスの回数減で外出の機会が減り、閉じこもりになることが不安」「電動ベッドが使えないと起き上がるのが難しく、寝たきりになる心配がある」など、今までの生活が維持できなくなる深刻な事態を多数紹介しています。

「事例集」に紹介されている実態

 脳こうそくで右半身まひの男性(65) 要介護2が要支援2になり、1日2回だった訪問介護が週3回に。右手まひのため自分で調理ができず、毎日の食事さえ困難。週1回の通所リハビリ以外は外出する機会もなく、1日中ひとりでいる状態。

 肺結核の後遺症で呼吸不全の女性(79) 在宅で人工呼吸器と酸素療法を実施。呼吸困難感のため常に電動ベッドの頭部を15度ほど上げて寝ているが、要介護1のため10月からベッドが使用できなくなる。

 要介護1から要支援2になった男性(72) 5月まで週6回だった訪問介護が週3回に減った。自費でヘルパーに週1回来てもらっているが、出費も大変で、精神的な負担も増えている。

 認知症の女性(86) 週2回のデイサービスを楽しみにしていたのが、要支援2になり、利用回数が月2回減った。ショックを受け、不安から体調を崩す。

 片まひのある要支援1の女性(75) 借りていた電動ベッドを返却してホームセンターで購入したが、高さや手すりの具合がいまひとつで、起き上がったときに転倒した。


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