2006年8月19日(土)「しんぶん赤旗」

防衛施設庁談合 元幹部が語つた

口利き政治家11人

「なぜ業者指名されなかった」と
元防衛庁長官は高圧的に言った


 防衛施設庁を舞台にした官製談合事件で東京地裁は、数十年間にわたって受け継がれた組織的な談合システムを厳しく断罪しました。しかし、東京地検特捜部は、官製談合にからむ政治家の関与には、踏み込みませんでした。これに対して、防衛施設庁の元幹部が本紙の取材にこたえ、「政治家の口利きは相当数あった。そこにメスが入らないのはおかしい」とその実態を明かしました。


 元幹部が語ったのは、一九九九年四月から二〇〇〇年六月までに、国会議員など政治家十一人から仙台防衛施設局に対して行われた「口利き」の実態です。

 「九九年の暮れです。『こんなこと頼んじゃいけないんだが…』と言いながら、元防衛総括政務次官の議員が、秋田県内の会社を工事の入札で指名するように頼んできました」

 元幹部は、メモを見ながらこう証言しました。

 メモには、仙台防衛施設局の建設部や施設部に対して、防衛庁出身などの族議員らが行った口利きの内容やその日付、結果などが書き込まれています。

 元防衛庁長官が建設部に対し、「口添えした業者が指名されなかった。どういうわけだ」と高圧的に言ってきたことも。そのために本庁の幹部が説明に出向いたといいます。

 「口利きは、悪いと分かっていること。それなのに騒ぐなんてルール違反だと、みんな怒っていました」

 証言は、防衛施設庁の官製談合に政治家がかかわっていた事実を裏付けるものです。

 元幹部によれば、口利きの内容は主に二つ。施設局発注の土木・建築工事関係と、青森県・三沢飛行場周辺の土地買収にからむもの。十一人中六人が工事発注がらみでした。いずれも山形県や仙台市など、東北地方の土木・建設業者を、指名競争入札の参加業者に指名するよう求めてきたといいます。

 六人の依頼のうち五件は実際に指名され、受注した例もあります。議員はいずれも防衛庁長官などを経験した防衛族の大物議員ばかりです。

 三沢飛行場周辺の土地にからんでは、五人の議員が土地の買い取りや移転補償について、買い取りの有無や時期について問い合わせてきたといいます。

 元防衛庁副長官は、青森県内に住む会社社長の男性が所有する飛行場周辺の農地の買収について、九九年、〇一年の二度にわたって「どうなっているんだ」などと問い合わせています。施設局側は「〇一年の予算措置ですぐ認めますよ」などと回答したといいます。

 会社社長に取材すると、社長は議員側に問い合わせを依頼したことを認めました。その後、この土地は買収が決定し、〇一年度に買収が終わっています。

 防衛施設庁談合事件の公判では、検察側が〇三年から〇四年だけでも、少なくとも二百五十九件、千四百四十九億円分の工事で官製談合が行われていたと指摘。マスコミ報道などでも政治家の関与の有無が取りざたされていました。税金がくいものにされていたわけで、引き続いての全容解明が求められています。


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