2006年8月17日(木)「しんぶん赤旗」

太陽系惑星 12に

国際天文学連合が提案


 国際天文学連合(IAU)は十六日、チェコのプラハで開催中の総会で、惑星の定義をめぐって新たな提案をしました。従来九つとされていた太陽系惑星に当面新たに三つ加わることになります。


 これまで惑星についての明確な定義はなく、最近の観測技術の進歩で新天体が発見されるたびに、惑星と呼ぶかどうか議論を呼んでいました。

 IAUの定義案は、惑星の定義を「自己重力に支えられて球形を保つことができる十分な質量をもつ天体で、恒星の周りを回る、恒星でも惑星の衛星でもない天体」としました。

 この条件を満たす最小の天体の目安としては、質量は冥王星の二十七分の一程度、直径は八百キロメートル程度と考えられます。

 当面、新たに惑星とされるのは、大きさなどが確定している三天体。小惑星に分類されている「セレス」、米国のグループが発見した冥王星よりも大きな天体(仮符号=2003UB313)、冥王星の衛星とされている「カロン」です。カロンと冥王星とは互いに周囲を回りあう「二重惑星」ということになります。このほか、十二天体が惑星候補にあげられています。

 さらに定義案では、水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星の八つの“古典的な惑星”とは違って、太陽を二百年以上かけて周回するような惑星を、冥王星(プルート)の仲間の「プルートン」と呼ぶことを提案しています。

 総会では、二十四日に議決を行う予定です。


“惑星論争”に終止符か

国際天文学連合の定義案

解説

 国際天文学連合(IAU)が、初めて「惑星の定義」を提案しました。総会で承認されれば、「冥王星が惑星かどうか」といった議論に終止符が打たれることになります。

 もともと惑星は、肉眼で見える水星・金星・火星・木星・土星が星座の間を複雑な動きをするために、「惑(まど)う」という言葉から命名されていたもので、明確な定義はありませんでした。

 その後の望遠鏡の発達で、十八世紀に天王星、十九世紀に海王星が見つかりました。

 第九番惑星の冥王星が見つかったのは一九三〇年のことです。冥王星は傾いた楕円軌道で太陽の周りを公転しており、それまでの八つの惑星と違っていました。

 一九九〇年代以後、海王星より外側のカイパーベルトと呼ばれる領域で小天体が続々と発見されると、「冥王星は惑星か」という疑問や、定義をめぐる議論が起こりました。

 二〇〇五年には、米・カリフォルニア工科大学のマイク・ブラウン博士らが冥王星より大きな新天体を発見したと発表し、第十番惑星として認めるよう主張しました。

 そうしたなか、IAUは惑星の定義を策定する必要に迫られ、議論を重ねてきましたが、歴史的、文化的な背景もあり、簡単にはまとまりませんでした。「惑星の定義委員会」を立ち上げ、約二年かけてようやく今回の定義案がまとまりました。

 定義案が承認されれば、IAUがあげている惑星候補以外にも、今後の観測によって、惑星の数は大幅に増えると予想されます。

 国立天文台によると、二十四日の議決で反対や慎重論が多い場合、決着は三年後の次回総会に持ち越される可能性があるといいます。(中村秀生)


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