2006年8月4日(金)「しんぶん赤旗」

セクハラと一部メディアの姿勢


 最近いくつかのメディアが、セクハラ事件で参議院議員を辞職し後に日本共産党を離れた筆坂秀世氏を、まともな解説者のようにあつかって登場させました。セクハラ問題で事実がなかったかのように開き直っている筆坂氏の態度にあわせて、セクハラ問題を不問にしていることが特徴です。

 『週刊朝日』は、筆坂氏とのインタビューで、聞き手(有田芳生氏)に「女性は嫌がっていたのですか」などと質問させて、筆坂氏に開き直りの弁を展開する場を与え、その後の別号では、「東大阪市長選の共産党勝利を…斬る」と称する記事に筆坂氏を登場させました。

 大阪読売テレビ「たかじんのそこまでいって委員会」では、筆坂氏を最初に登場させたさい、セクハラ事件にふれたものの、筆坂氏の弁明を聞いただけで、筆坂氏の姿勢をまったく問題にしませんでした。最近、同番組に筆坂氏を再度登場させるにあたっては、「セクハラ疑惑で議員辞職」などと紹介しました。セクハラはもはや「疑惑」あつかい、問題にもなりませんでした。

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 筆坂氏のセクハラが、でっち上げや疑惑のたぐいのものでないことは、二〇〇三年六月七日付で筆坂氏が書いた「自己批判書」で明白です。

 「(事件の翌日、被害者が)不愉快な思いをしているなら、謝罪しなければと思い、電話とファックスで連絡をとりましたが、まったく連絡がつかず、今日に至りました」

 「今回の件で思うのですが、…(あのような)行為は、程度の差こそあれ、これまでもあったことを否定できません。ただ、これまでは、誰からも訴えられることはなかったというだけです」

 「そう強く自覚していたとはおもはないのですが、たとえば、『女性は可愛ければよい』『所詮、女は色取り』というような蔑視があったのかもしれません。それが今回のような行動の遠因になったのかもしれないと考えています」

 「今回の私の行為は、どうにも弁解できないものであり、また、弁解するつもりも毛頭ありません」「いかなる処分も受け入れる覚悟です」

 このように筆坂氏は、セクハラ行為を働いた翌朝から、それを気にしていたのであり、弁解できない行為、どんな処分を受けてもやむをえない行為であったことを認めていたのです。これらの「自己批判」の中心部分は、すでに四月二十日付本紙で浜野忠夫副委員長が引用して紹介しており、メディアにとっては周知のはずのものです。

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 セクシュアルハラスメント(セクハラ)は、女性の尊厳と人格をいちじるしく侵害する行為として、社会的に根絶が求められています。米国トヨタ社長のセクハラで、社長自身と会社が巨額の損害賠償金を請求され、社長が更迭されたという事件もありました。セクハラはそういう重大な問題です。

 セクハラ事件を起こし、謝罪どころか、たいしたことはやっていないと開き直っているような人物を、どんな分野であれ“識者”あつかいして紙誌や公共の電波に大きくのせるなどということをすれば、そのメディアは不見識のそしりを免れないでしょう。一部メディアの基本姿勢がきびしく問われています。(Q)


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