2006年8月1日(火)「しんぶん赤旗」

保育へ民間企業参入促進

規制改革会議が中間答申


 政府の規制改革・民間開放推進会議(議長・宮内義彦オリックス会長)は三十一日、放送・通信、教育、保育、外国人、金融、「規制見直し基準」の六分野に重点を置いた中間答申を決定しました。保育分野では、「民間企業等による保育施設サービスへの新規参入並びに既存事業者による施設の拡大、サービスの拡充を促す」と明記。認可保育施設における利用者との「直接契約」の導入、現行の「応能負担」から保育料引き上げにつながる「応益負担」への転換などを提言しました。

 このほか、答申は(1)NHKの受信料制度は廃止すべきだとし、当面維持するとしても必要なものに限定する。民放についてはキー局とローカル局間の複数局支配に関する規制をいっそう緩和する(2)市町村の教育委員会の一部権限を首長に移譲する特区の創設、教育委員会必置規制の撤廃の検討(3)外国人の社会福祉士・介護福祉士の受け入れ――などを盛り込みました。

 保育分野では、「社会福祉としての保育を、子育て支援サービスへと転換することが必要」と強調。「財政上の制約」をあげて、「高コストの公立保育所を増設することは現実的ではなく」として、「民間企業の参入を促すことが急務」としています。

 答申は近く、小泉純一郎首相に提出されます。同推進会議はこれまで年末に最終答申を決定してきましたが、首相の「九月退陣」をにらんで、次期政権にも「規制緩和・民間開放」を迫ることを視野に中間答申をまとめました。しかし、保育所問題を含めて、関係省庁との未調整項目が多く、最終答申策定の難航も予想されます。


解説

国民犠牲に財界肥やす

 規制改革・民間開放推進会議が出した中間答申は、規制緩和が財界・大企業のためであることを露骨に叫ぶ内容になっており、同会議の存在意義がいよいよ問われます。

 いま、国民生活の格差と貧困の拡大が大きな社会問題となるなかで、「官から民へ」といって政府の役割をどんどん後退させてきた小泉「改革」路線とその旗振り役を務めてきた同会議の責任が問われています。

 中間答申もそうした現実を無視できず、「規制改革が格差社会のひとつの要因となっているとの指摘から規制改革のすすめ方が問われている」といわざるをえません。

 しかし、だからといって規制緩和を見直すのではなく、「道半ばであるため格差が生じているという見方もできる」などと“規制緩和が不十分だから格差が生じている”と開き直り、「小休止や後退が許されるべきではない」とあくまで推進する姿勢を強調しました。

 課題としてあげるのも「産業の競争力をいかに維持・向上させるか」などと財界・大企業の利益拡大だけです。国民生活の苦難を顧みることもせず、ひたすら財界・大企業の利益に奉仕する姿勢しか見られません。

 それもそのはず、宮内義彦議長はじめ規制改革を推進してきた当事者自身が、それによって莫大(ばくだい)な利益を得てきたからです。

 宮内氏が会長をつとめるオリックスは、リース(賃貸)事業などの規制緩和で急成長をとげた企業です。村上ファンド問題でも、オリックスが実質的に創設し、巨額の利益を得ていました。

 財界・大企業がみずから規制緩和の仕掛けをつくり、そのなかで私腹を肥やす―財界直結の最悪の利権政治をつくるためのものである同会議は廃止するしかありません。(深山直人)


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