2006年7月19日(水)「しんぶん赤旗」

サラ金 灰色金利撤廃へ(上)

大門参院議員に聞く

引き出した重要答弁


 自民、公明両党が利息制限法の上限金利を超える「グレーゾーン(灰色)」金利の撤廃を打ち出しました。この問題を国会で追及してきた日本共産党の大門実紀史参院議員に、背景と課題について聞きました。


写真

(写真)大門実紀史参院議員

 ――与党は年利29・2%もの暴利を可能にしてきた「グレーゾーン」金利(出資法の上限年利29・2%と利息制限法の上限年利15〜20%の間)の撤廃で合意しました。

 大門 背景にはサラ金被害の広がりと、長年にわたってこの問題にとりくんできた弁護士、司法書士、被害者の会を中心とした運動と世論の高まりがあると思います。

 サラ金利用者二千二百万人のうち多重債務者は二百万人にのぼるといわれ、二十万人が自己破産に追い込まれています。

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 多重債務の主な要因としてバブル期の上位(一、二位)は遊興・飲食・交際費、ぜいたく品購入でしたが、最近は生活費、収入減少・失業・倒産が占めています。小泉「構造改革」が大きく影響しているんですね。

 運動、世論が高まる中で、最高裁は今年一月、「グレーゾーン」金利を事実上認めない判決をくだしました。しかし、今年はじめの段階では、金融庁も利息制限法までの金利引き下げは難しいという姿勢でしたし、与党や民主党の一部では、金利引き下げに反対する業界の意向を受けた動きがむしろ活発化していました。

もうけの構図

 ――日本共産党国会議員団は、運動と結んで先の国会で精力的にこの問題にとりくんできましたね。

 大門 ええ。私と、仁比聡平参院議員とで計十一回の質問を行い、重要な答弁を引き出せたと思っています。

 武富士、アコムなどサラ金大手は大銀行と提携し、1%台の金利で調達した資金を二十数%で貸し付けてばく大な利益をあげている構図を明らかにして、高金利是正を迫りました(三月十五日、参院予算委員会)。小泉純一郎首相は「高金利をむさぼっている業者に被害を受けないような対策を講じなければならない」と答弁し、これが流れを決定づけたと思います。

 与謝野馨金融担当相は「サラ金」という言葉を口にしてサラ金会社のテレビCMを「不愉快だ」とのべ、「(高金利が当たり前の)社会をつくってはいけない」といいました。実は、サラ金会社の広告収入の大きいマスメディアは、イメージが悪いということでサラ金業界から「サラ金」という言葉は使うなと言われ、「消費者金融」といっていたんですね。

 それを大臣がテレビカメラの前で「サラ金」といい、しかも不快感を示した。いままでサラ金追及を控えていた全国紙の記者から、多重債務問題などをやりやすくなったと感謝されました。

議連を封じる

 もう一つ。金利引き下げに抵抗する貸金業界の働きかけで、新たに超党派の議員連盟をつくる動きもあったのですが、これも質問でとりあげて、動きを封じることができました。

 さらにその後も日掛け金融問題などをとりあげた仁比議員と各委員会でサラ金質問を連打しました。その間、被害者の会の方々、弁護士さんたちの国会要請も精力的に行われました。こういうとりくみの中で、金融庁の「貸金業制度に関する懇談会」が四月に「グレーゾーン」金利撤廃の方向を打ち出しました。今回の与党の方針はそうした流れの中で出てきたものです。(つづく)


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