2006年7月12日(水)「しんぶん赤旗」

教員免許 10年で更新

中教審答申 講習を義務化、失職も


 中央教育審議会(鳥居泰彦会長、文部科学相の諮問機関)は十一日、教員免許に更新制を導入するとの答申をまとめ、小坂憲次文科相に提出しました。現職教員も含め十年ごとに更新講習の受講を義務付け、修了認定を受けなければ免許が失効し、現職の場合は失職する制度を提案しています。


 教員免許の更新制は二〇〇〇年に小渕内閣が設けた「教育改革国民会議」が提言したもの。中教審は二〇〇二年に導入見送りの結論を出しましたが、財界の要求もあり、〇四年に当時の中山成彬文科相が再び導入について諮問していました。

 答申は「その時々で求められる教員として必要な資質能力が確実に保持されるよう、必要な刷新(リニューアル)を行うことが必要」として、更新制を現職にも適用することを提言しました。更新講習は最低三十時間程度で、国が定める基準に基づいて、大学や都道府県教育委員会などが開設します。

 教育研究者からは「教員の身分が不安定になり、マイナスのほうが大きい。管理統制を強める点で、教育基本法『改正』案と同じ流れ」(勝野正章東京大学助教授)との指摘があります。約百十万人にのぼる現職教員への講習をどう実施するのかはまだ不明確です。多忙化が深刻な現場からは「いつ講習を受けるのか」「力量向上というなら自主的な研修を保障してほしい」などの声が出ています。

 答申はこのほか、大学の教職課程に必修科目「教職実践演習」を新設すること、「高度な専門性を備えた教員の養成」を目的とした教職大学院の創設を盛り込みました。また、「教育実習の改善」を掲げ、母校での教育実習は「評価の客観性の確保」などに問題があるとしてできるだけ避けるよう求めました。

 文科省は次期通常国会に教育職員免許法などの「改正案」を提出するとしています。

教育基本法改悪と同じ流れ

 全日本教職員組合の山口隆副委員長の話 昨年の「中間報告」の時点ではやらないとしていた現職の教員へ、手のひらを返したように適用し、免許が失効すれば失職するとしたことは重大です。

 教育基本法改悪の動きとあわせてみれば、ねらいは鮮明になったといえます。時の政府が「戦争する国」の人づくりにつながる国家的目標を決め、これに従わない教員は免許をはく奪し国家権力の思うままの教育を遂行しようとするものです。

 この間、政府・文科省は、民間人校長をはじめ、教員免許を持たない人を学校現場に送り込む制度を「規制緩和」の名のもとにすすめていますが、更新制とまったく矛盾します。全教は答申の具体化を許さないとりくみを強化するものです。


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