2006年7月11日(火)「しんぶん赤旗」

医師不足で過重労働

保団連シンポ “ストレスは危険域”


 全国保険医団体連合会は九日、東京都内でシンポジウム「今、地域医療と医療現場で何が起きているのか―医師の労働実態を考える」を開き、全国から医師ら約三百八十人が参加しました。

 一九九九年に過労死自殺した小児科医の妻で、夫の労災認定を求める中原のり子さんが特別報告。故利郎氏の生前の過酷な労働実態を告発し、医師の総労働時間の短縮などを求め「心ある若者を安心して医療現場に送り出せる社会に変えたい」と語りました。

 医師らがシンポジウムをおこないました。国立成育医療センター第一専門診療部アレルギー科の大矢幸弘氏は、三千人の小児科医のストレス調査の結果から「小児科医の多くは勤務医を中心に過重労働によるストレスを感じており、かなり多くの医師が危険域に達している」とのべました。

 全国自治体病院協議会の小山田惠会長は、病院勤務医の労働時間が平均週六十三・三時間に及ぶ実態を示し、週四十八時間労働にするとしても三―五割の増員が必要だとのべました。“将来推計では全体で必要な医師数は供給される”などとした厚生労働省の「医師の需給に関する検討会報告書案」について、「医療の現場を知らない官僚が現状維持を前提に書いたもの」と批判しました。

 本田宏・済生会栗橋病院副院長は「日本の医師不足は偏在が原因でなく絶対数の不足が根本原因」と指摘。日本の医師数二十六万人はOECD諸国の人口あたり平均医師数と比べると十二万人少ないとして、医学部定員の見直しを求めました。

 読売新聞社会保障部の本田麻由美氏、保団連の板井八重子女性部長も問題提起しました。


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