2006年7月7日(金)「しんぶん赤旗」

偽装「委託」の灯油巡回販売員

雇用労働者と認める

会社側が労組と合意 未払い賃金支払う

シューワ石油名古屋


 灯油の巡回販売最大手「秀和石油」(本社、大阪府堺市)の愛知県内の子会社シューワ石油名古屋は、偽装委託契約を結び働かせていた労働者について雇用労働者であると認め、未払い賃金を支払い、謝罪するなどを内容とした協定書を労働組合とかわすことで合意しました。


 六日、全労連・全国一般愛知地方本部が発表しました。実態は、雇用労働者でありながら個人請負として働かせる違法行為が広がっています。個人請負の形をとれば会社側は、労働基準法の適用や社会保険の負担をまぬがれることができるためで、この合意は、是正を求める運動を励ます画期的意味を持ちます。

 シューワ石油で働く青年たち九人が三月、全国一般シューワ石油支部を結成し、四月に「僕たちは委託ではない。雇用労働者と認めよ」と団体交渉で要求していました。

 青年たちは、勤務時間や日給を明示した求人誌を見て応募。そのさい会社は何の説明もなく「販売委託契約書」にサインさせ、個人請負であるかのように装います。

 ところが、タイムカードで出勤を管理し、遅刻や一日四回の定時連絡に遅れると五百円から数万円の罰金をとりました。販売ルートも道順と時間を会社が指定、当初は一日八千円の固定給とするなど実態は雇用労働者でした。青年たちは「委託契約は、労働基準法の適用を逃れるための偽装だ」と愛知労働局に申告。労基署が労基法違反で指導していました。

 今回の合意は、組合の要求を全面的に認め、▽組合員を雇用労働者と認め「販売委託契約書」はなかったものとする▽今後の採用募集で、公序良俗に反する広告はしない▽労基法違反の事実を認め、未払い賃金(時間外、深夜手当を含む)を支払う――などを内容としています。

 シューワ石油支部の佐々木孝好委員長(24)は「労働組合をつくったことで、早期解決にたどり着けました。みんなで協力して勝ち取れました」と話しました。


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