2006年7月7日(金)「しんぶん赤旗」

イスラエル軍のガザ侵攻

和平機運損ねる

交渉の追求こそ危機打開


 六月二十七日以来、イスラエル軍による大規模なガザ攻撃が続いています。発電所が破壊され断水や停電が続き、医療危機が深刻になっています。イスラエルは、パレスチナ自治政府の副首相らハマス政権閣僚の三分の一を拘束し、首相府を空爆するなど異常な攻撃を続行中です。この無謀な軍事行動が、収拾のつかない事態に至る危険性も指摘されています。

言い分とかけ離れ

 イスラエル政府は、パレスチナ武装勢力に拉致された一兵士を奪回するためだとしていますが、その言い分とはあまりにもかけ離れた大規模な軍事侵攻です。アッバス・パレスチナ自治政府議長が拉致を批判し、イスラム抵抗運動ハマス出身のハニヤ首相も武装勢力に兵士即時解放を要求していた矢先のことです。イスラエルでも拉致兵士の家族をはじめ、国内世論が外交的解決を求めていました。

 そもそも一月のパレスチナ自治評議会(国会)の選挙で、ハマスが勝利して以来、イスラエルと米国は、ハマス主導の自治政府に財政・軍事的圧力を強めてきました。ハマスがイスラエルを承認せず武装解除を拒否しているという理由です。これまで指導的な勢力だったファタハに対するハマスの地すべり的勝利は、ファタハの腐敗への批判とハマスの住民奉仕の活動が評価された結果と言われます。

 パレスチナ住民は一方で、ハマスの政策をすべて無条件で支持したわけではありません。住民は武装闘争路線ではなく、暮らしの安定への期待を込めてハマスを支持したとの世論調査結果が出ています。こうした世論を背景にハマスは一年七カ月にわたって一方的に停戦を守ってきました。将来の国家像についてもパレスチナ各派と交渉を続け、国連決議に沿ったイスラエルとの「二国家共存」を事実上受け入れたのです(六月二十七日)。

 こうした和平機運が強まりつつあるなかで、イスラエルはハマス幹部の暗殺、子どもを含む民間人の無差別の殺害を続けてきました。今回もイスラエルはハマス政権に圧力を加えることで住民の離反をねらっています。しかし、拉致とは関係のない集団懲罰に対し、住民の間ではハマスへの支持が衰えるどころか、党派を超えてイスラエルへの怒りが広がっています。

国際的な合法性を

 イスラエルの側でも五月に新しい政権が発足しています。右翼リクードから分離した新政党カディマが主導する政権です。昨年秋、イスラエルは四十年にわたって占領してきたガザから撤退しました。オルメルト新首相は、パレスチナ側に交渉相手がいなければ、残りの占領地ヨルダン川西岸の一部から「撤退」して国境線を一方的に画定すると宣言しています。これは「撤退」と言いながら、入植地群を三つの主要入植地に整理してイスラエルに併合するというものです。

 イスラエルの態度は「テロリストであるハマスとは交渉しない」とかたくなです。しかし、イスラエルの情報機関モサドの長官を長らく務めたエフライム・ハレビー氏は、「パレスチナ人の過半数の支持を得た勢力を無視できると考えるのは間違いだ。ハニヤ首相は停戦を継続する意思を示したし、閣僚たちにイスラエル政府との協力を追求するよう命じている」(英紙フィナンシャル・タイムズ)と述べています。

 イスラエルが軍事行動に訴えるのではなく、パレスチナ人との交渉を通じ、国際的な合法性を追求してのみ、短期的には現在の危機打開と長期的にはパレスチナ問題の公正で永続的な解決への道が開けます。(尾崎芙紀・党国際局員)


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