2006年7月4日(火)「しんぶん赤旗」

高齢者への大増税の中止を求める申し入れ

日本共産党国会議員団

(全文)


 昨年から年金生活世帯などの高齢者の所得税が増税され、今年度からは住民税が増税となった。六月に入って各市町村から住民税の納税通知書が送付されると、「税額が昨年に比べて十倍になった。間違いではないのか」「これではくらしが成り立たない」などの問い合わせや抗議が、市町村に殺到している。

 自民党・公明党の政府が二〇〇四年の国会に年金増税の法案を提出したとき、日本共産党は、「生活苦が拡大している高齢者に対して、雪だるま式に痛みを押しつけるもの」だと批判して、断固反対したが、増税が実施された結果、まさに私たちが指摘した通りの状況が生まれている。

 収入はまったく増えないばかりか、六月支給の年金はマイナス0・3%の物価スライドで減っているというのに、税の計算の上だけ所得が増えたことにされ、税金が何倍にも増えてしまう。計算上の所得や住民税額が増えれば、それに連動して国民健康保険料や介護保険料も負担増になる。介護保険料は三年に一度の見直しでほとんどの市町村で大幅引き上げになっており、二重の負担増になる。公営住宅家賃、介護サービスの利用者負担、老人医療の窓口負担などにも影響が及ぶ。

 この増税による被害者は、所得税・住民税だけでも五百万人以上で、高齢者の五人に一人が増税となる。増税にはならなくても国民健康保険料が増えるという人を含めれば、さらに多くの高齢者に影響が広がることになる。

 いま、高齢者を襲っている増税は、負担が数倍から十数倍にもなる、あまりにも急激なものであり、世帯によっては増税と保険料の負担増だけで一カ月分をこえる年金が吹き飛んでしまうようなひどいものである。増税のやり方も、高齢者に十分な説明もなく、きわめて乱暴なものである。しかも、定率減税の廃止など、今後もはてしない負担増が連続して押しつけられようとしている。これらは高齢者が耐えられる限度をはるかに超えるものといわなければならない。

 よって、次の二点を緊急に申し入れる。

 1、いま実施されている高齢者への大増税については、ただちに中止し、見直しをはかること

 2、今後、実施予定の増税については、凍結すること


〈関連資料・解説〉

表

 老年者控除 税額を算出する際、六十五歳以上で、年間の合計所得金額が一千万円以下の高齢者について、住民税で四十八万円を課税対象となる所得額から差し引くことができました。〇四年度税制「改正」で廃止されました。

 公的年金等控除 税額を算出する際、公的年金等の年間受取額から最低年百四十万円(六十五歳以上の人の場合)を差し引くことができました。〇四年度税制「改正」で、六十五歳以上の高齢者のための上乗せ措置が廃止され、最低保障額も百二十万円に縮小されました。

 高齢者の住民税非課税限度額の廃止 これまで、六十五歳以上の高齢者の場合、前年の所得金額(年金収入から公的年金等控除を引いた額)が、百二十五万円以下であれば非課税でした。〇五年度税制「改正」によって、この非課税限度額を百二十五万円から若年者と同様の九十一万円(夫婦世帯の均等割。単身世帯は均等割、所得割ともに三十五万円、いずれも生活保護一級地の場合)まで引き下げました。この増税で、〇六年度分から三年間にわたり段階的に増税になります。

 定率減税 所得税(国税)と個人住民税(地方税)の税額の一定割合を差し引く減税。〇五年度税制「改正」によって、〇六年度から軽減額が、所得税額の10%(最大十二万五千円)、個人住民税額の7・5%(同二万円)に半減されました。


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