2006年7月4日(火)「しんぶん赤旗」

2万号迎える「しんぶん赤旗」

サラ金高金利問題

引き下げへ 政界工作追及


 最大年29・2%にのぼるサラ金の高金利。大手各社が一千億円規模の経常利益をあげる一方、多重債務者は二百万人にのぼるといわれます。その高金利を是正しようという動きが、ことしに入り、高まってきました。

 金融庁の有識者懇談会「貸金業制度等に関する懇談会」が四月、貸金業者の金利を刑罰で規制する出資法の上限金利(年29・2%)を、利息制限法(年15―20%)の水準まで「引き下げるべき」だとの方向を打ち出しました。自民党の貸金業制度等に関する小委員会も六月末までに上限金利引き下げでほぼ一致。上限金利や貸金業制度が秋の臨時国会で法改正される見通しです。

 しかし、ここに至る道のりは険しく、高金利引き下げ全国連絡会代表幹事の宇都宮健児弁護士はことしに入っても「危機感を持っていた」と語っています。

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 その大きな理由は、金利引き上げを主張するサラ金業界の政界工作があったからです。業界は政治団体をつかい、自民、民主、公明の各党議員のパーティー券を大量購入。二〇〇二―〇四年にはパーティー券購入などにあてる「渉外費」に計約三千九百万円を支出しました。一部の自民党議員からは「自由金利であるべき」だなど業界寄りの発言が出ていました。

 「サラ金が国会議員協力リスト パーティー券大量買い 自、公、民など84議員 金利下げ阻止ねらう」(〇三年八月十七日付)――。サラ金業界の政界工作は、「しんぶん赤旗」が一連のスクープで明らかにしてきたものです。

 サラ金業界の政界工作を示す内部文書にこんな記載があったことも報じました(〇三年十一月三十日付)。「赤旗に、公明党議員接待記事が掲載された。それ以降公明党は当業界に対して距離を置くようになった。そこで…陳情し、成功した」

 サラ金商法と被害の実態、高金利引き下げ運動などもいっかんして報じ、高金利引き下げの必要性を伝えてきました。

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 サラ金大手「武富士」については、同社会長が有罪となった盗聴事件をはじめ、警察・暴力団との癒着、社員に対する過酷なノルマ追い立て、過剰融資などを連載で告発。強制捜査前に同社の“闇”をとりあげたのは全国紙で「しんぶん赤旗」だけでした。

 全店舗営業停止処分をうけた「アイフル」についても、被害対策全国会議の動きを結成当時からとりあげ、「アイフルに行政処分を/認知症男性に契約強要」(昨年四月十九日付)など、はやくから被害を報じてきました。「アイフルがとうとうやられました。がんばったかいがありましたね」との激励のメールも赤旗編集局に届きました。

 他方、商業新聞、各テレビ局はどうだったか――。「武富士被害対策全国会議」は〇五年九月、報道各社へのCM・広告中止申し入れで、「大手サラ金から年間七百億円という多額の広告費を得」る一方、「多重債務の実態をほとんど報道してこなかった」と指摘しました。サラ金などの広告に頼らず、読者に支えられた「赤旗」は、サラ金CM問題も先頭に立って追及してきました。

 サラ金、クレジット、ヤミ金被害、多重債務の救済に携わってきた人たちの悲願である高金利引き下げは、確実に、十分な形で実現させる必要があります。「赤旗」はサラ金・高金利問題の追及を続けます。(井上 歩)


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