2006年6月24日(土)「しんぶん赤旗」

急増 外資系企業

献金容認へ法改悪狙う

政治資金改悪案継続審議 財界と自民の思惑一致


 外国人や外国法人の持ち株率が50%を超える「外資系企業」の献金規制を撤廃する政治資金規正法改悪案。自民党は先の通常国会に提出していましたが、一度も審議されないまま継続審議となりました。汚職・腐敗の温床となる企業・団体献金を外資系企業にも認め、政治に影響を与えようとすることなど許されるでしょうか。(古荘智子)


共産党は廃案主張

 自民党は国会最終盤に、衆院倫理選挙特別委員会理事懇談会で、改悪案を「今国会で審議し、採決させてほしい」と提案しました。日本共産党は、現在禁止されている外資系企業の献金を受け取れるようにするのは重大な改悪であり、会期末ぎりぎりになって審議・採決などもってのほかだと強く反対して、廃案にすることを主張しました。

 政治資金規正法は第二二条の五で「主たる構成員が外国人もしくは外国法人である団体その他の組織から政治活動に関する寄付を受けてはならない」として、外国人や外国法人が発行株式の過半数を保有する企業からの献金を禁止しています。

 自民党案はこの条項にただし書きを加え、国内の証券取引所に上場している日本企業の献金は「この限りでない」として、持ち株率50%超の外資系企業でも自由に献金ができるようにしました。

 本来、企業・団体献金は汚職・腐敗の温床であり、禁止すべきです。外資系企業へのこれまでの規制を取り払い、政党にカネを出して政治に影響を与えることは、日本国民の基本的権利を侵害することになります。

経団連が積極姿勢

 外資系企業の献金解禁案が出た背景には、このところの外資系企業の急増があります。投資部門別の外国法人・個人の株式保有は金融機関に次いで多く、一九九六年の11・9%から二〇〇五年に26・7%と、この十年間で二・二四倍に増えました。

 日本経団連の御手洗冨士夫会長は会長就任の記者会見で、「企業が行う政党への政治献金も社会貢献の一つ」(五月二十四日)と積極姿勢を示しました。御手洗氏が五月まで社長を務めていたキヤノンは外国人持ち株率が51・12%(〇五年十二月末)のため献金できませんが、関連会社は〇五年に献金しています。御手洗氏も「条件が整えば行う」と法改定に期待をかけています。

 日本経団連は、財界の求める政策を遂行する政党にカネをばらまく政党評価制度で〇四年から本格的に企業・団体献金の拡大を進めています。外資系企業献金の禁止はその障害になっているのです。

 自民党は三月に党改革実行本部で改悪案を了承し、四月に法案を提出しました。外資比率50%を超える日本の有力企業が増えつづけているもと、政党助成金と並び企業・団体献金を主な収入源とする自民党にとって、献金できる企業が増えるのは“大歓迎”というわけです。

民主党も献金歓迎

 民主党は外資系企業の献金について「制限を受けるのはおかしな話だ」(鳩山由紀夫幹事長)、「規制を緩めること自体に反対ではない」(菅直人代表代行)と基本的に解禁に賛成の立場です。

 同党の収入は八割を占める政党助成金に偏っており、企業・団体献金の増額をめざしています。鳩山幹事長は日本経団連との会合(五月二十二日)で、財界が要望する外資系献金の緩和に「期待にこたえられるよう努力する」と約束しています。

 同党は自民党案に対し、献金の受け取りを政党本部や政治資金団体に限定するなどの「修正」を用意していました。しかし通常国会での審議入りには反対しました。

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