2006年6月23日(金)「しんぶん赤旗」

グアンタナモ米基地収容所

EU、米に閉鎖要求

首脳会議で“法的保護必要”


 【パリ=浅田信幸】ウィーンで行われた米・欧州連合(EU)首脳会議に出席したブッシュ米大統領は二十一日、会議後の共同記者会見で、EU側が人権問題として閉鎖を強く求めていたグアンタナモ米軍基地の収容所問題について、「そのために活動している」と釈明しました。これに対し、EU議長国オーストリアのシュッセル首相は「収容されている人々の権利と自由が保障されなければならない」と法的保護の適用を求めました。


 キューバにあるグアンタナモ収容所には、二〇〇一年の米国での同時多発テロ後に主にアフガニスタンで拘束されたテロ容疑者約四百六十人が収容。「敵性戦闘員」として法的保護の適用を受けない状態に置かれています。今月初旬には三人が自殺する事件が起こり、EUでは閉鎖を求める声が急速に広がっていました。

 会談では、シュッセル首相が「司法上の空白はあってはならない」と指摘。収容されている人々をそれぞれの国に送還する問題など、突っ込んだ協議が行われました。

 首脳会議はまた、イラン核問題やテロ対策、エネルギー安全保障などでの協力強化をうたった宣言を採択しました。

 ブッシュ大統領は記者会見で、イランの核兵器開発阻止のために国連安保理常任理事国とドイツがまとめた包括案に関連して、イランが回答を八月に先延ばししようとしていることに「そんなに時間は必要ない」と容認しない考えを表明。また北朝鮮に対しても「合意の尊重」を強く求め、六カ国協議を継続する姿勢を明らかにしました。

 宣言は、イランに包括案受け入れを求め、拒否の場合は「国連安保理でさらなる措置をとることで合意した」と明記しました。

 またテロ対策では「人権法、難民法、国際人権法を含む国際的義務にのっとって」遂行するとし、EU側の主張に一定の配慮を示した内容となっています。

 米・EU首脳はこのほか、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)について年内合意達成をめざすことを確認。エネルギー安全保障では、エネルギー供給源の多様化、低公害エネルギー開発での協力推進とともに、ロシアと中国を含むG8の枠組みでの協調を進める方針を打ち出しました。


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