2006年6月19日(月)「しんぶん赤旗」

手話で勧誘 返金せず

詐欺容疑で告訴へ 3億円超被害か


 東京都内の福祉機器販売会社の社長(54)らが「高い金利を払う」と手話で聴覚障害者を勧誘、現金を預かったまま返金しないでいることが十八日までに、関係者の話で分かりました。関東や中部の五十人以上が計三億円以上の被害を訴え、被害者の会も設立。詐欺容疑などでの告訴を準備しています。

 金を預かったのは、東京都港区の福祉機器販売会社の女性社長と社員ら。

 関係者によると、社長らは人づてに知り合った聴覚障害者に手話や筆談で「銀行金利は低い。お金を預ければ高い金利を出す。必要ならすぐ返す」と勧誘。預かり金は神奈川県内で経営していた高齢者福祉施設の運営費に充てるなどとし、「施設の収益で金利は払える」と説明しました。

 さらに「安心して預けてほしい」と、社長が代表を務める貸金業の都発行の登録証も示し、数百万円から数千万円を預かり、年5―8%程度の金利を約束しました。

 しかし、金利支払いは最初の数カ月分だけで、催促しても先送りし、返金もしないといいます。

 勧誘は二○○○年夏ごろ始まり、被害を訴える聴覚障害者は山梨県の二十人をはじめ、東京、茨城など関東や愛知、静岡まで及び、ほとんどが五十代から七十代で、年金や保険積立金を預けたケースも多く、「社長は身内にも聴覚障害者がいるとのことで、手話もうまく信用した」と説明する人もいるといいます。

 預かり金を充当したとする福祉施設は、経営が行き詰まり四月に売却。社長は「詐欺ではない。九月以降、絶対に返す」などと説明しているとされます。

 損害賠償を求める民事訴訟も、少なくとも東京、名古屋両地裁で計四件起こされ、社長らに賠償を命じる判決が出ています。

 山梨県では九人が今月、被害者の会を設立。山梨、愛知、東京で近く、詐欺と出資法違反(預かり金の禁止)容疑で、各県警や警視庁へ告訴する見通しです。


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