2006年6月19日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

ハンセン病のこと 私たち、受け継ぐ

青年の全国ネット発足


 ハンセン病に関する問題を解決しようというハンセン病市民学会に青年・学生部会が、このほど発足しました。高齢化するハンセン病元患者の実態を継承していくネットワークづくりのスタートです。ボランティア、医療、福祉、学問研究、文学、編集などさまざまな分野の人たちが集まっています。青年たちの思いは――。(伊藤悠希)


 ハンセン病市民学会のホストとして準備や学会の運営をした前田祥子さん(富山国際大学四年)。一九九六年の「らい予防法廃止」のニュースでハンセン病を知りました。そのころ、教科書には載っていない現実がたくさんあることを知って、社会科の教師になろうと思ったと言います。

 三重県の短大で法律を学んでいたとき、ゼミ合宿で療養所に行きました。「反省しました。ハンセン病については知っていたのにそれまで活動らしいことをしていなかったから」

期待されてる

 短大卒業後、富山の大学に編入。市民学会事務局長の藤野豊助教授から「ハンセン病問題ふるさとネットワーク富山」を紹介され、市民学会総会の現地実行委員になりました。総会には二日間でのべ約千四百人が参加。「感動しました。富山には療養所がないこともあって、認知度が低いんです。予想以上に集まったことがうれしくて」

 総会のシンポジウムでは堕胎を強制された玉城シゲさんの話を聞きました。「つらい体験を話してくれるのは若い世代に期待しているから。気持ちにこたえなきゃと思いました。先生になったら子どもたちと一緒に考えていきたい」

 来年の市民学会総会は、国立ハンセン病療養所栗生楽泉園(群馬県・草津)で開かれます。埼玉大学三年生の鶴我秀治さんは大学の授業で楽泉園に行きました。そこで元患者の話を聞き、一緒に参加した学生らと来年の開催の手伝いをすることになりました。「今回の学会には来年の開催の事前学習を兼ねて参加しました。参加して漠然としていた問題意識が明確に見えてきました」

患者の立場で

 福祉カウンセリングを勉強している鶴我さん。ハンセン病の問題は福祉の問題ともつながると言います。「介護保険料の値上げや自立支援法の成立は当事者の立場を考えていません。ハンセン病についても患者たちの立場を考えない政策が患者たちを苦しめ続けてきました。過去の過ちをきちんと学び、自分たちの世代では同じようなことを繰り返してはいけないと思います」

 放射線技師をしている堀場勝義さん(32)は愛知県から参加しました。「ハンセン病元患者さん・家族と共に歩もうあいち太陽の会」で栗生楽泉園に暮らすハンセン病元患者たちを追った映画「熊笹の遺言」を上映することになったのが具体的な活動を始めるきっかけでした。

 上映前に仲間と栗生楽泉園を訪ねたり、学習会を開いたりしました。「見過ごしてはいけない。知らせていかなければ。医療従事者としてかかわっていきたい」と思いました。「医療従事者として療養所の将来構想、退所者の健康不安の問題をどう支援していくか考えたい」と話します。「医療にかかわる者として正しい知識を身に付けたい。情報交換ができる医学分野のネットワークづくりをしたい」


励まし合う仲間できた

 青年・学生部会代表幹事 由井久志さんの話

 青年・学生部会が成立し、スタートラインに立てたと感じています。これからは長い距離を短期間で走らなければなりません。元患者らは平均年齢が七十八歳。十年後には半数になると聞きました。多くのことを広範な人々に伝えなければと思っています。

 全国的なネットワークができたことで励まし合える仲間ができ、彼らと立場を超えて手をつなげたことに喜びを感じています。ハンセン病問題にかかわるきっかけも分野もさまざまです。ハンセン病問題をなんとか解決したいという思いで一致した青年たちです。

 その中で活動するには自分のスタンスを持ちながら相手の話を理解しなければなりません。柔軟に対応し、粘り強くやっていこうと思っています。今までもいろんな人とつながってハンセン病のことを広げてきました。私たちに語ってくれた仲間がいるから知ることができました。そういう仲間がいるということが力になります。

 青年・学生部会では交流を中心に活動していきます。同じ問題意識を持った仲間がいることを力に活動を進めていきたい。


8月に交流会

 青年・学生部会では「ハンセン病問題を知りたい青年交流会 in駿河療養所」を8月26(土)〜27日(日)に行います。会場は国立駿河療養所(静岡県御殿場市神山1915)。定員=50人。参加費=5000円(宿泊費3食含む)。申し込み締め切り=6月30日(金)。申し込み=090(8372)3286(由井)内容等の問い合わせ=事務局・由井。


交流・検証・提言3本柱で活動

 五月、富山市内で二日間にわたって開催されたハンセン病市民学会には全国から約五十人の青年が集まりました。

 青年・学生部会の総会では各分野から活発に意見交換。裁判に参加できなかった人やしなかった人、今まで語らなかった人たちの声を、どう残していくのかなどについて話し合いました。交流のほか情報交換や学問研究のバックアップをしていくことを確認しました。

 これまで、青年・学生の間でどういう人が、どこで、どんな問題意識を持ち、活動をしているのかについての情報交流の場が少なかったため、多彩な運動の発展がありませんでした。ハンセン病市民学会が結成され、ソロクト楽生院訴訟での学生の取り組みが広がりました。これらの動きをネットワーク化する要望が強まり、青年・学生部会の発足となりました。

 市民学会は二〇〇五年五月に設立しました。同学会では、学者だけでなく元患者も市民も一緒になって課題に取り組むという趣旨で、交流と検証と提言の三つを柱に活動しています。


 ハンセン病 らい菌によって起こされる細菌感染症の一種。1873年、ノルウェーのハンセン医師が発見しました。らい菌は感染力が極めて弱く遺伝しません。しかし、「らい予防法」(1996年廃止)のもとで、元患者らは1世紀近くも強制隔離されてきました。2001年の熊本地裁判決で、国の隔離政策は憲法違反であると断罪されました。


お悩みHunter

やりたいこと見えず就活うまくいかない

  何をやりたいかみつからない若者の一人です。就職活動に頑張っていますが、内定がもらえません。やりたい仕事をみつけてという風潮のプレッシャーもあります。毎回同じ履歴を書いて、面接で同じことを繰り返して…。就活やめようかとさえ思います。(大学四年、男性。東京都)

道は多様、丁寧に考えて

  これでは自信喪失に陥るのもうなずけます。やってもやっても結果が出ないのですから。でも、だからと言って、いまのまま就活をやめると、悔いを残しそうです。

 あなたは、今日の若者論や社会現象一般に自分を重ねて納得させようとしていますが、もっと自分自身に引き寄せて、丁寧に考えた方がいいのではないでしょうか。

 就活は、高校までの大学選びでありません。社会に踏み出す第一歩です。これまでのように、得点を上げれば高く評価される「学校」的価値は通用しません。

 企業は、労働に対する対価を報酬として支払います。当然社員一人ひとりが、自社の理念に共鳴し、組織の一員として参画し働くことを期待しているのです。賛否は別にして、面接ではその資質や意欲が問われるのです。ですから、いかに的確に相手にかみあわせて自分をアピールできるのかが問われます。

 これまでの就活へのスタンスを振り返り、相手企業の要求を踏まえた対応力や表現力を発揮したいものです。しかし、精神的にそれが負担なら、何も企業にこだわる必要はありません。道は多様です。

 NGOや公務員など公共性の高い仕事、あるいは公認会計士や弁護士など資格で社会や人々とかかわる道も考えられます。このように生き方、働き方についてここまで真剣に考えられるのも就活のおかげです。あなたは着実に前進していますよ。


教育評論家 尾木 直樹さん

 法政大学キャリアデザイン学部教授。中高二十二年間の教員経験を生かし、調査研究、全国での講演活動等に取り組む。著書多数。


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