2006年6月19日(月)「しんぶん赤旗」

村上ファンド問題で噴出

首相の任命責任

福井日銀総裁も 宮内規制改革会議議長も


 恒例の記者会見も十九日に先延ばしにして、そそくさと国会の幕を閉じさせた小泉純一郎首相。首相として最後となった国会質疑(十五日)は、福井俊彦日銀総裁による村上ファンド出資問題や社会保険庁の保険料不正免除など、もっぱら小泉首相の資質にもかかわる疑惑の追及でした。自らの責任に沈黙したまま、問題の幕引きをはかる―こんな首相の対応が許されるのか。

 「説明は理解した。ルールにのっとっていれば問題ない」(十五日)―小泉首相は、福井総裁の責任を否定し、続投を後押ししました。

 しかし、錬金術さながらに株を高値で売りぬけていた村上ファンドへの出資は明らかに“ルール違反”。「世間から些(いささ)かなりとも疑念を抱かれることが予想される場合には…個人的利殖行為は慎まなければならない」とした「日本銀行員の心得」にも反します。

 この間、日銀はゼロ金利を続け、庶民からは三百兆円もの利子を奪ってきました。その一方、みずからは一千万円の出資で「(年間で)少ないときは数十万円単位、多いときは数百万円単位」(十六日の答弁)もの利益を受けていた福井総裁の道義的責任は免れません。

 副総裁のとき、部下の汚職事件で引責辞任した福井氏を、総裁に任命したのは小泉首相。その任命責任に口を閉ざしたままではすまされません。

 村上ファンドとの関係では、宮内義彦オリックス会長の問題もあります。同会長は、政府の規制改革・民間開放推進会議の議長として、首相と「二人三脚」で混合診療の拡大や公共サービスの民営化などを推進してきました。

 さらに、保険料の不正免除問題で、強硬なノルマ主義が問われている社会保険庁の長官も、首相が民間から抜てきした村瀬清司氏。首相は「引き続き、村瀬清司長官の下で全容解明と再発防止に万全を期す」とかばいますが、村瀬氏の責任は重大です。

 日本共産党の大門実紀史参院議員が追及してきた西川善文日本郵政株式会社社長(元三井住友銀行頭取)の問題もあります。

 小泉首相は、国会閉幕で野党の追及をかわそうとしましたが、これらの任命責任は消せません。

表

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