2006年6月15日(木)「しんぶん赤旗」
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WORLD CUP 2006「しんぶん赤旗」W杯現地取材チーム(和泉民郎、勝又秀人、中村美弥子)がお伝えします。 |
W杯ライン通信
一番の記念品 紙コップなき大会
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各スタジアムでいま一番人気の「記念品」があります。
それは、売店のジュースやビールを入れる樹脂製のコップです。透明のものや赤くデザインされたものもあり、W杯のマーク入りです。ジュースの代金三・五ユーロ(約五百四円)のうち容器代一ユーロ(約百四十四円)が含まれていて、戻すと返金されるデポジット方式です。返却する人もいますが、一つか二つは持ち帰る人が多い。
実はこれ、今大会の環境対策の一つです。「緑のゴール」といわれ、ゴミやエネルギー、水の消費を20%抑える目標を立てています。樹脂製の容器だと何回でも使用でき、紙コップを使わずにすみます。ゴミが出ないことが最大の利点です。
このコップは、すでにドイツのブンデスリーガでも実施していて、クラブごとに独自のデザインで人気もあるといいます。もちろんスタジアム内のゴミも激減し、清掃にかける人や時間を省力化でき、試合後の照明代も抑えられています。Jリーグのいくつかのスタジアムでも導入し、好評のようです。
ドイツ国内では、すでにペットボトルがデポジット方式で、一・五リットル以下の容器であれば〇・二五ユーロ(約三十六円)で回収されています。
ドイツの事情に詳しい日本サッカー協会海外委員の傍士銑太(ほうじ・せんた)さんは「ドイツでは日常的に環境問題が議論され、企業の社会的責任も問われる。だからこうしたこともできます。非常にドイツらしい試み」と話します。
そんなドイツ社会のよき一面が、今回のW杯の運営に生きています。(フランクフルト=和泉民郎、写真も)