2006年6月15日(木)「しんぶん赤旗」

「脱北者」は内政問題

北朝鮮人権法案 外務省認める

緒方議員質問

参院委で可決


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(写真)質問する緒方靖夫議員=14日、参院拉致問題特別委

 参院拉致問題特別委員会は十四日、北朝鮮人権侵害問題対処法案を自民、公明、民主の賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。

 質問に立った日本共産党の緒方靖夫議員は、法案が、北朝鮮の内政にかかわる「脱北者」問題を、まったく次元の異なる拉致問題と同列に扱い、政府が「施策を講ずる」としている問題点をただしました。

 外務省の梅田邦夫大臣官房参事官は、北朝鮮の経済的、政治的、人道的観点から「脱北者」が発生していると答弁。緒方氏が「北朝鮮住民が『脱北』する背景には、北朝鮮の国内事情があるということか」とただしたのにたいし、梅田氏は「ご指摘の通り」とのべ、内政問題であることを認めました。

 緒方氏は、政府がこれまで「脱北者」を人道的に保護してきた措置について質問。梅田氏は関係国との信頼関係から「非常に慎重に対応している」とし、そのため、「脱北者」にかかわる具体的な情報開示や財政支援の公表は「差し控えている」と答えました。

 さらに梅田氏は、情報開示に慎重な理由として、「脱北者」の「類似の案件への好ましくない影響」に言及しました。緒方氏が「好ましくない影響とは(脱北)行動の誘発か」とただしたのにたいし、梅田氏は「その点もあるし、脱北したい方が脱北できないような状況が発生することも考えられる」とのべました。

 緒方氏は、「脱北者」問題は、「北朝鮮の内政にかかわる問題であると同時に、関係国に影響の大きい問題だ」と指摘。にもかかわらず、今回の法案で、「脱北者」の「保護・支援」を国の施策として明記する以上、「今後は北朝鮮からの脱出の動きを国家の行為として促進する」ものであり、「内政問題への介入とならざるを得ない」と批判しました。

拉致問題の解決に障害/緒方議員が反対討論

 日本共産党の緒方靖夫議員は、十四日の参院拉致問題特別委員会で、北朝鮮人権侵害問題対処法案に対する反対討論をおこないました。

 緒方氏はそのなかで、「わが国に保護を求めてきた『脱北者』を人道的に保護することは当然であり、これまでも政府が個別具体的に対応してきた」としたうえで、「しかし、法律で『脱北者』の『保護・支援』を国の施策として明記し、公表することは、これまで人道上の配慮から行ってきた措置を、国家の行為として促進することにならざるを得ず、北朝鮮からの脱出の動きを促すなど、内政問題への介入につながる」と強調しました。

 また緒方氏は、外交努力による拉致問題の解決への努力が継続中の重要な局面で、政府も「関係国との信頼関係を損なうおそれ」を懸念する「脱北者」問題を使って北朝鮮に圧力をかける法律を制定することは、「外交交渉による拉致問題の解決に重大な障害を持ち込むものにほかならない」とのべました。


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