2006年6月11日(日)「しんぶん赤旗」
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WORLD CUP 2006「しんぶん赤旗」W杯現地取材チーム(和泉民郎、勝又秀人、中村美弥子)がお伝えします。 |
ドイツ発 ゴール
ドイツの必死さ 支えたもの
ドイツの「必死さ」が伝わってきた。
地元開催というプレッシャー、エースのバラックが欠場し、チームが危機感をもってたたかったこともあるだろう。
ドイツは、それを攻めのエネルギーに転化し、コスタリカを圧倒し続けた。決してボール扱いのうまい選手が多いわけではない。パス回しもあまり意外性はない。でも、チームの平均身長184センチの大男たちが、鬼のような形相で、グラウンド狭しと動き回った。攻めでは、長短のパスコースをつくり、守りでは相手への早い寄せで圧力をかける。一人ひとりが最後まで、献身的に動き回っていた。
後押ししたのは、スタンドいっぱいのサポーターの存在だ。
「勝利の一部はサポーターのおかげだ」。先制のミドルシュートを決めたDFのラームはいう。
観客六万の大半は、ドイツが攻めに転ずるたびに席から立ち上がった。そして、どこからともなく歌声と手拍子がわき起こり、あっという間に一つになって、スタンドを包む。その力強い大合唱が、選手たちの背中を押したのは間違いない。
「このチームは信じられないほどエネルギーにあふれている」。ドイツ代表のユルゲン・クリンスマン監督は語った。
その選手たちへエネルギーを補給し続けたサポーター。両者の“共演”がドイツを勝利に導いた。
(ミュンヘン=和泉民郎)