2006年6月11日(日)「しんぶん赤旗」

主張

医療改悪法案

日米財界の“合作”は廃案に


 自民党、公明党が国会会期末を前に採決をねらう「医療制度改革」法案は、国民に新たな負担増をおしつけるとともに、保険の使えない医療を大幅に拡大する大改悪です。徹底審議の上、廃案にすべきです。

治療中断と重症化

 七十歳以上の「現役並み所得者」(夫婦世帯で年収約五百二十万円以上)の窓口負担は、二割から三割に引き上げられます。「現役並み所得者」を除く七十代前半の人は、一割から二割に引き上げられます。

 政府は、負担増でも必要な受診は妨げられないと正当化します。しかし、負担増によって慢性疾患の治療中断と重症化を招き、かえって医療費増につながることは、厚生労働省の補助を受けた研究報告でものべています。政府は事実を隠さず、負担増による医療費抑制の弊害を、国民に明らかにすべきです。

 “高齢者ねらいうち”には、情け容赦がありません。七十五歳以上の高齢者を対象とした医療制度の創設は、全員からの保険料徴収と、年金からの天引き、支払えない人への保険証の取り上げを導入しています。高齢者の長期入院患者の食費・居住費の自己負担化や療養病床の六割削減は、患者の病院からの追い出しにつながるものです。

 これらは、国民の要求から出てきたのではありません。

 財界・大企業の利益団体である日本経団連が、医療給付費の増加を抑えるためといって、これまで繰り返し政府に要求してきたことです。企業の保険料負担・人件費を抑制できるからです。

 しかし、日本の企業の税金と社会保険料負担は欧州諸国の六―八割にすぎません。企業の社会的責任も果たさずに、最も医療を求めている高齢者に負担増をおしつけるのは身勝手というものです。

 日本経団連は、「保険外サービスと保険サービスの併用を進めるべきである」といって、混合診療の解禁についても政府に要求してきました。保険のきく診療と保険のきかない診療を併用する「混合診療」は、「必要な医療はすべて保険で行う」という公的保険の大原則を崩します。国民の強い反対で、これまで導入されてきませんでした。

 参院の審議では、財界だけでなく、米国からも、混合診療の解禁を求める要請が、日本政府にあったことが明らかになりました。

 日本共産党の小池晃参院議員が、法案が米国からの「混合診療解禁」という強い圧力にこたえる一歩ではないのかと質問しました。これにたいし、川崎厚生労働相は、「米国からいろいろ言ってきたことは事実だが、私どもなりの議論の結果だ」(六日参院厚生労働委員会)と答え、米国からの要請の事実を認めました。

 日本政府は、二年前までは、「国民皆保険制度の堅持の観点から、混合診療の解禁には慎重である」と米国に答えていました。ところが、混合診療の解禁を強く要求する米国の保険会社と医療業界の意向を受けた米政府の圧力で、日本政府は混合診療の本格的導入に踏み出したのです。ブッシュ米大統領と小泉首相が合意してつくられた日米協議機関の報告書で明記されています。

公的保険の土台壊すな

 保険証一枚で、どんな病気でも、だれでも安心して医療機関にかかることができる公的保険制度の土台を壊すことは絶対に許されません。人の命や国民の健康よりも、日米財界の要求を優先してつくられた法案は廃案にするしかありません。


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