2006年6月10日(土)「しんぶん赤旗」
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WORLD CUP 2006「しんぶん赤旗」W杯現地取材チーム(和泉民郎、勝又秀人、中村美弥子)がお伝えします。 |
鼓動 ドイツ発
W杯開幕
最高の花よ 咲け
【ミュンヘン(ドイツ)=和泉民郎】四年に一度世界一を争うサッカーの第十八回ワールドカップ(W杯)ドイツ大会が九日、開幕しました。大会には三十二チームが出場し、七月九日の決勝まで一カ月にわたって熱戦を繰り広げます。ドイツでのW杯開催は西ドイツ時代の一九七四年以来、三十二年ぶり二度目で、東西統一後は初めてです。
開幕セレモニーでは、ペレ(ブラジル)氏ら、かつてのW杯優勝メンバーが登場して式典を盛り上げました。
大会は強豪がそろう南米、欧州勢が優勝争いの軸になりそうですが、実力をつけているアジア、アフリカ勢の試合ぶりも注目されます。三大会連続出場の日本は十二日にオーストラリアと初戦を行います。
華やかな開幕の式典とともに、W杯ドイツ大会が始まりました。
「どんなときも人々をわくわくさせる攻撃的なプレーをみせたい」
巧みな技術と意表を突くプレーで、今大会最も注目を浴びているブラジルのロナウジーニョ選手の言葉です。彼だけではありません。W杯では、すべての選手がみずからの持てる力をだしきり、それぞれの「花」をピッチの上に咲かせてくれるはずです。
前回の日韓大会で印象に残っている場面があります。
決勝トーナメント二回戦でのイングランド―ブラジル戦。敗れたベッカムと勝利したロベルトカルロスが試合後、しっかりと抱き合い、互いの健闘をたたえあっていました。サッカーというスポーツを通じ、互いの立場を思い理解し合う。そんなたくさんの友情の「花」を見たいものです。
いま、世界のサッカー界には暗雲も垂れ込めています。昨年のドイツ・ブンデスリーガでの八百長事件、今年に入ってイタリアの優勝クラブによる不正疑惑、サポーターによる黒人選手に対する人種差別的なブーイング――。W杯では前回、問題になった審判の技術向上といった課題もあります。
問われているのは、不正を許さない断固とした姿勢、相手を尊重するフェアな姿勢の追求です。
選手たちがW杯のピッチから最高のフェアプレーを発信していく。そのメッセージが、世界中の人々に伝わり、サッカー界を正しい軌道に乗せていく力になる。そんなことも期待して、サッカーの明日をみつめていきたい。(ミュンヘン=和泉民郎)