2006年6月9日(金)「しんぶん赤旗」
労組活動家115人殺された
2005年
逮捕は9000人
国際自由労連が年次報告
【パリ=浅田信幸】二〇〇五年に世界で労働者の権利を守ってたたかっている百十五人の労働組合活動家が殺され、九千人が逮捕された―ブリュッセルに本部がある国際自由労連(ICFTU)は七日、労組の権利侵害に関する年次報告を発表しました。
これによると世界で最も労組の活動が厳しく危険な国は南米のコロンビアで、昨年一年間に七十人が殺害されています。また中東湾岸諸国では組合の結成そのものが禁じられており、それ以外の多くの国でも労組や活動家は暴力と抑圧の対象になっていると指摘しています。
アジアでは、組合活動家が「警告的暴力」の対象となり、しばしば警察による弾圧を受けており、十七人が殺され、八千人以上が逮捕されました。日本についても「公共サービス部門での組合の権利に対する強い法的規制が残っている」と指摘しています。
アフリカでは、多くの国で「組合結成や団体協約、ストライキに対する規制法で、政府が労働者の権利を尊重しない」実情があり、「組合に対するますます攻撃的な弾圧の舞台になっている」と述べています。
欧州では、経営者が「社会的対話」といわれる労使協議制度を骨抜きにすることに「ますますエネルギーを傾注」していると指摘。いくつかの中東欧諸国では独立した労組の結成が認められていません。
中東では、イラクで組合の中心的幹部が相次いで殺される事態が発生しています。イランでは労組結成の動きが弾圧にさらされ、他の国でも労組が認められず、出稼ぎ労働者は無権利状態で搾取されています。
南米は、とくに多国籍企業が組合権を侵害している一方で、非正規経済が拡大し、労働裁判所が存在しないなど、労働者と労組の権利尊重にとって障害となる問題が多いとしています。また米国では、ブッシュ政権が労組の自由と団体交渉制度を掘り崩しつつあると警告しています。