2006年6月8日(木)「しんぶん赤旗」

国会会期巡る火花に浮かぶ物


 通常国会の会期末の対応をめぐって、小泉純一郎首相と自民党との間で「対立」が噴き出しています。会期延長なしの意向を示す小泉首相と会期を延長してでも教育基本法改悪法案、改憲手続き法案などに成立のメドをつけたい自民党側の間で火花を散らす構図です。しかし対立も一皮めくれば思いは変わりません。

 森喜朗前首相は七日夜、自民党森派議員の会合であいさつし、国会運営問題に触れました。

 「十分な余裕の期間があるのに、なぜ国会を(会期延長せずに十八日の会期末で)やめなければならないのかふに落ちない。盟友・小泉純一郎くんは何を考えているのか。大変な法案ばかり政府が提案している。その法案を、われわれ衆参両院で(成立へ向けて)一生懸命やろうとしているのに『もうやらなくていい』というのでは、いったい何なのか」

 会期延長はしない意向を示す小泉首相の対応に怒りをにじませ疑問を投げかけました。森氏は教基法改悪法案を審議する衆院特別委委員会に一委員として加わって、今国会で成立させたい立場です。

 一方、改憲手続き法案を審議する衆院憲法調査特別委メンバーの自民党若手議員も「教育基本法は国会をいくら延長しても、必ずこれを仕上げることが総理大臣、与党政治家の当然のつとめだ。日本国憲法の改正問題もしっかりやり上げなければならない」。会期を延長し、改憲、教基法両案の成立にメドをつけるべしとの立場を強調しました。

 前記二法案で主戦論が多い自民党内は会期延長派が目立ちます。

 これにたいして小泉首相の会期延長問題をめぐる対応は五月上旬以後、腰が定まりませんでした。「先のことはわからない」(五月二日)、「ぎりぎりのところで調整しよう」(同八日)、そして「延長したくない。状況が変わった」(五月三十日)。小泉首相に振り回され、会期延長含みで法案成立への態勢づくりに入っていたにもかかわらず、はしごを外された格好の片山虎之助参院自民党幹事長が四日に小泉首相との、この間のやり取りを明らかにして波紋を大きくしました。

 ポイントは小泉首相が指摘する「状況が変わった」とする点。ある閣僚は五日の記者懇談で国会会期延長なしにかんして、村上ファンドの村上世彰代表逮捕との関連をほのめかしました。

 自民党関係者は「国会が開いていると村上ファンド問題を追及される。通常国会冒頭に問題化したライブドア問題、耐震偽装設計、BSE、防衛施設庁談合の“四点セット”問題に再び火がついて小泉構造改革が追及の矢面にさらされ、小泉政権が退陣をひかえボロボロにされかねない」と、その背景事情を語ります。

 小泉政権が延長国会でボロボロになると改憲手続き法案も教基法改悪法案も吹き飛んでしまうことを恐れた首相官邸サイドが会期延長を嫌った理由だというのです。むろん自民党総裁選へ向けた党内のさまざまな思惑もささやかれます。

 いずれにしても、国会最終盤の会期延長問題をめぐる自民党内のさや当てで浮かび上がるのは、戦後最悪の法案成立へ向けてどういう段取りを取るかの違いでしかない「対立」です。


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