2006年6月7日(水)「しんぶん赤旗」

市営団地 また「孤独死」

行政“無策” 市民から批判

北九州


 福岡県北九州市門司区の市営団地で五日、六十九歳の男性と六十二歳の女性夫婦の遺体が発見された事件で、司法解剖の結果、男性は五月中旬、女性は三月上旬ごろ死亡していたことがわかりました。門司区では今年四月に母娘二人、五月には独居男性が「孤独死」したばかり。住民からは「行政の対応に問題がある」との声があがっています。

 亡くなった夫婦の住む五階建ての団地の棟(六十戸)は、急な坂の上に建ち、半分ほどが空き屋。住民の多くは六十五歳以上のお年寄り世帯だといいます。

 夫婦と同じ棟に住む住民は、「若い夫婦はマンションに引っ越していくため残るのは年寄りばかり。近所づきあいは、ほとんどない」と言葉少な。真向かいの団地に住む六十代の女性は、「亡くなった奥さんは病気があって、やせていました。今のご時世、どの家の生活も苦しいですが、役所は何も手助けしてくれない。亡くなった夫婦は気の毒でなりません」と話していました。

 一方、門司区の久鍋和徳区長は六日、記者会見し、「行政の過失はない」「(事件の)背景には家族、地域住民との関係が希薄なことがある」と強調。門司区で連続する「孤独死」に対する行政の対策や再発防止の具体案は示しませんでした。

 門司区役所では、一九九四年以降、保健福祉課の相談員を通して亡くなった夫婦の健康や生活状態の聞き取りをおこなっており、「深刻な状況ではなかった」といいます。しかし、今年二月に夫婦宅を訪問した際には応答がなく、四月以降は電話連絡もしていませんでした。


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