2006年6月6日(火)「しんぶん赤旗」

小泉首相の「目玉」人事

不祥事の影また影


 小泉純一郎首相が「改革」の目玉にした人事に、金融不祥事が次々と影を落としています。

 筆頭格が「郵政民営化」でうまれた日本郵政会社の西川善文社長。「大物バンカー(銀行家)」などと鳴り物入りで、社長に就任したものの、頭取を務めていた三井住友銀行が金融庁から独占禁止法違反で業務停止処分をうけました。二日には、自らも頭取報酬の返上(三カ月分)を受け入れました。

 取引先の中小企業などに、融資と引き換えにリスクの高い金融派生商品を強要するなど、「中小企業いじめ」を行ってきた責任者です。

 もう一人は、年金保険料の不正免除でゆれる社会保険庁の村瀬清司長官。一昨年七月まで副社長を務めていた損保ジャパンが保険金支払い漏れなどで、業務停止の処分を受けました。処分対象となった違法行為は過去三年間に行われたもので、村瀬氏が副社長や専務としてかかわった時期が含まれます。

 さらに、証券取引法違反で逮捕された村上世彰容疑者。同容疑者が率いる「村上ファンド」の立ち上げ時に巨額の出資をしたのが、政府の規制改革・民間開放推進会議の議長を務めるオリックス会長の宮内義彦氏です。

 相次ぐ金融不祥事の影が小泉首相のまわりでちらつくのは偶然とはいえません。西川氏を郵政会社の社長にすえたのも、郵貯資金という国民の財産を、日米の銀行・保険業界の食い物にするという「郵政民営化」の目的を完遂するため。その豪腕に期待したからでした。

 村瀬氏に社保庁長官を要請したときも、「思いきってやってください」と激励。ノルマ達成で発揮した手腕を年金保険料徴収でもふるわせようとしたのでした。

 不祥事続発が周辺で相次ぐのは、国民の財産、公共のサービスを財界・大企業のもうけ口に提供して恥じない小泉政治を象徴しているといえます。(藤)


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