2006年6月2日(金)「しんぶん赤旗」
改革不振への不満吸収
韓国地方選で最大野党圧勝
韓国の統一地方選挙(五月三十一日投票)は一日未明、開票作業を終え、結果が確定しました(確定投票率は51・6%)。焦点となった七大都市、九道(県に相当)の市長選・知事選で、最大野党のハンナラ党はソウル市、仁川市、大田市など十二市長選で当選。一方、政権与党の開かれたウリ党が勝った首長選は、全羅北道知事一つにとどまり、全羅南道知事選と光州市長選で勝利した第二野党の民主党をも下回りました。
全国二百三十の自治体首長選挙でも、ハンナラ党は、ソウル市の二十五区長選で全勝するなど百五十五カ所で勝利しました。
第三野党の左派政党、民主労働党は、地盤の蔚山市の二区長選などで当選を目指しましたが、勝利できませんでした。
新聞各紙は、「最悪の惨敗」「記録的大敗」と報道。ウリ党の鄭東泳(チョン・ドンヨン)議長は一日、選挙結果を受けて開いた党最高委員会議後の記者会見で、「選挙結果に対しあらゆる責任を取る」と述べ、議長を辞任しました。
一方、ハンナラ党の朴槿恵(パク・クネ)代表は同日、「選挙中の国民との約束を必ず守らなければならない。党の全力を公約実現に注ぐ」と決意を述べました。
今回の地方選挙は、三年余にわたる盧武鉉政権への評価と、来年末の大統領選挙の前哨戦とみられていました。
ハンギョレ紙は一日付社説で「盧武鉉政府と与党の国政運営に対する総体的な不満が累積して爆発した」「政権勢力全体に対する国民の厳しい審判だ」と指摘。「前回総選挙で過半数の議席を与えたのに、改革を推進することができなかった能力不足も民心離反の原因」とし、改革の実行力不足を挙げました。
鄭大和・尚志大教授(政治学)は現地メディアに答え、盧大統領自身の哲学はよいが「哲学を実現する政策がない」と指摘。「『市民参加』政府を標ぼうするが、韓米関係、労使関係、非正規職、教育、環境問題での議題設定のやり方を見ると、その政策目標設定と実現方法に『市民』がいない」と分析しています。
現政権・与党の国政運営が国民の批判を招いたとの見方は、保守系の論調も共通。朝鮮日報もハンナラ党の圧勝は「有権者らがハンナラ党の候補者を選んだというより、反対党だからという理由で票を入れたことによるものとみるべきだ」と分析しています。
(中村圭吾)

