2006年6月2日(金)「しんぶん赤旗」

イトカワ 素顔詳細に

小惑星 岩石の集合 内部スカスカ


写真
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(写真)(上)はやぶさが撮影したイトカワ。研究チームは、イトカワをラッコに見立てて頭部(右奥)と胴体(左手前)の2つの部分からできていると説明します(下)降下中のはやぶさが、高度80〜63メートルから撮影した着陸地点付近のイトカワ表面。数センチメートル大の粒のそろった小石が並ぶ滑らかな地形であることがわかります(白い棒の長さが1メートル)=宇宙機構提供

 昨年十一月に探査機「はやぶさ」が着陸した小惑星イトカワは、一枚岩ではなく、宇宙に浮かぶ“岩石と小石の寄り集まり”だった――。六月二日発行の米科学誌『サイエンス』は、はやぶさ探査の特集を組み、日本の研究チームによる七編の論文を掲載しました。

 はやぶさは昨年秋、イトカワの上空から、形状や地形、表面の反射率、鉱物組成、重力分布などを観測しました。また、小惑星の画像としては史上最も詳細な画像の撮影に成功。イトカワの地形は一様ではなく変化に富んでおり、大きな岩石が密集した険しい地形と、数ミリ―数センチの小石が並ぶ滑らかな地形の、大まかに二種類からなることがわかりました。

 観測データの詳しい分析の結果、イトカワの内部はスカスカで、すき間が全体の体積の約40%も占めていました。岩石どうしの結合は弱く、地球の数万分の一程度の重力でかろうじて一つにまとまっていると考えられています。

 鉱物組成が、地球に落下する隕石(いんせき)のうち、最も数が多いタイプの隕石と一致することも明らかになりました。

 宇宙航空研究開発機構の藤原顕(あきら)元教授は「はやぶさの探査によって人類は初めて、もっともありふれた小惑星の真の姿を目の当たりにした」と話しています。


 はやぶさ 小惑星に着陸し岩石試料を採取して地球に持ち帰るという計画で、宇宙航空研究開発機構が打ち上げた小惑星探査機。二〇〇三年五月に鹿児島県のロケット発射場から打ち上げられ、約二十億キロもの航行を経て、〇五年九月に目的地の小惑星イトカワに到達。約二カ月間かけて、イトカワ上空三―二十キロから地形や鉱物組成などの詳細な観測をおこない、十一月には人類史上初めて小惑星への着陸・離陸に成功しました。現在、一〇年六月の地球帰還をめざして、地球から約三・三億キロの距離を飛行中です。


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