2006年5月22日(月)「しんぶん赤旗」

医療改悪法案

今週から参院審議

高齢者中心に患者負担増


 自民、公明の与党の強行で十八日に衆院を通過した医療改悪法案は、今週から参院での審議が始まる予定です。改悪案の柱の一つは、高齢者を中心にした患者負担増です。衆院の審議では「これ以上の患者負担は限界」「国民皆保険制度を崩壊させる」と批判が相次ぎました。国民の健康と暮らしにどのような影響を与えるのか―。

窓口負担が2倍・3倍

 「いままで千五百円の窓口負担が、一気に三千円に」―。七十歳以上の高齢者の患者負担は、これまで原則一割でした。改悪案では、二〇〇八年四月から、七十―七十四歳の患者負担を二倍の二割に引き上げます。

 七十歳以上で、これまで「現役並み所得者」(夫婦で年収六百二十万円以上、単身で四百八十万円以上)として二割負担だった人は、今年十月から三割負担になります。しかも、「現役並み所得」の基準が、今年八月から、年収で百万円ほど引き下げられるため、これまで一割負担だった人が一気に三倍の三割になるケースも出てきます。

入院患者負担月2万8000円増

 長期入院の高齢者、人工透析患者など、最も医療を必要とする人への負担増を盛り込んでいます。

 七十歳以上で慢性的な病気のため療養病床に入院する患者に対し、今年十月から食費の自己負担分を増やすほか、居住費として月一万円徴収します。合計で、月二万八千円の負担増になります。

 人工透析患者は、これまで月一万円の自己負担上限額でしたが、七十歳未満で月収五十三万円以上の人は、月二万円に引き上げられます。重病で医療費が高額になった場合に患者負担を軽減する「高額療養費」の患者負担の上限額も、引き上げられます(いずれも今年十月から)。

75歳以上から保険料を徴収

 改悪案では、七十五歳以上の高齢者を、二〇〇八年四月から既存の医療保険(国民健康保険、政府管掌健保、組合健保など)から切り離し、独立した「高齢者医療制度」をつくります。

 これまでサラリーマンの子どもに扶養されて保険料を払っていなかった人も含めて、全高齢者から保険料を徴収します。しかも、月一万五千円以上の年金収入がある人は、保険料が年金から「天引き」されます。

 保険料額は、高齢者の増加と医療費増に伴い上がる仕組みになっています。厚労省の試算では、制度が発足する〇八年度は平均で月五千円ですが、一五年度には月七千円になります。

 医療を最も必要とする高齢者、重症・重病の患者に負担増と保険料引き上げを迫る、まさに「弱い者いじめ」の改悪案です。

表

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