2006年5月22日(月)「しんぶん赤旗」

「小選挙区の弊害露呈」

選挙学会 05年総選挙で議論


 日本選挙学会総会・研究会が二十一日まで二日間、東京で開かれました。二〇〇五年九月の総選挙結果を中心に議論が交わされました。

 議論では、郵政民営化法案が参院で否決されたことから衆院が解散され総選挙になった法的問題点、「小泉劇場」といわれた選挙とテレビなどメディアの選挙報道の実態報告、公職選挙法と選挙の現状の不整合な状況の指摘など多方面から検討と評価が加えられました。

 自民党“圧勝”の結果については「一過性」との見方が多く出されました。また、自民党が得票率47・8%で議席獲得率73%(小選挙区部分)を得た点については「国民の意思との乖離(かいり)」という小選挙区制度の持つ弊害が予想した通り現れたとの問題点の指摘が相次ぎました。

 今回総選挙の比例代表の得票率で各党議席数をはじき出すと、自民党は獲得二百九十六議席のうち百十三議席が“過剰当選”となり、他方、民主党は三十六議席、公明党は三十三議席、日本共産党は二十六議席、社民党は十九議席の“過小当選”となる、との試算が紹介されました。

 議論では「恐れていた小選挙区制の問題点が露呈した。あまりにもひどい国民の意思との乖離といわざるを得ない。民主主義といえないのではないか」との発言がありました。

 「刺客」やホリエモンの騒動に集中した観があったメディアの総選挙報道にかんしては「有権者意識を高め、冷静な判断に寄与したか」の観点から関心が集まりました。テレビの視聴時間が長いほど自民党投票者の割合が高いというデータが紹介されました。報道関係者からは「自民党内部の流れに翻弄(ほんろう)された。『公平』の面から見ると問題があった。テレビの選挙報道はもはや『報道』とはいいがたく、エンターテインメント(娯楽性)にあふれる『情報番組』と化していた」と自省のことばも聞かれました。


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