2006年5月21日(日)「しんぶん赤旗」

“奪われた資産の返還だ”

ボリビア ガス国有化

米学者が支持


 【メキシコ市=松島良尚】南米ボリビアの天然ガス国有化で多国籍企業の投資への補償などが注視されるなか、日本でも知られる米国の経済学者ジョセフ・スティグリッツ氏は十八日、ボリビアのラパスでの記者会見で、モラレス政権の天然ガス国有化の措置を支持する姿勢を示しました。

 同氏は二〇〇一年のノーベル経済学賞の受賞者で、世界銀行の上級副総裁、チーフエコノミストを務めました。

 スティグリッツ氏は、モラレス政権の措置は当然だとし、「ボリビアは天然資源がもたらす正当な報酬を受けていなかったからだ」と強調。「補償」を受け取る必要があるのは、むしろボリビア側だと述べました。

 同氏はまた、ボリビアの場合の「国有化」という概念に疑問を投げかけました。

 その理由として、多国籍企業との契約が、ボリビアの法律に基づく議会の承認を得ておらず、違法状態だと指摘。「所有権がないところに国有化はない」と述べ、いま進んでいるのは奪われた資産の返還だとの見方を示しました。

 同氏はさらに、コロンビアとペルーの米国との自由貿易協定(FTA)について、多くの経済学者がFTAは両国に利益以上に損害をもたらすと考え、FTA交渉当事者らが「交渉ではなく(米国の)押し付けだ」と告白していることを紹介。米国が医薬品の特許権の設定などを押し付けている問題を挙げました。

 スティグリッツ氏は、モラレス政権が新自由主義路線を退け、経済分野の積極的な役割を国家に託す方向に歩んでいる重要性も強調しました。


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