2006年5月21日(日)「しんぶん赤旗」

独情報局

報道機関でスパイ活動

首相が中止を指示


 【ベルリン=中村美弥子】ドイツの情報機関・連邦情報局(BND)が、ジャーナリストの情報源を得るために国内の複数の報道機関でスパイ活動をしていたことが明らかになりました。BNDを管轄する連邦首相府は十五日、メルケル首相が報道機関へのスパイ活動をやめるようBNDに指示したと発表しました。メディア各社は、報道の自由が侵害されたとして厳しく抗議しています。

 BNDのスパイ活動は先週、BNDを監督する連邦議会統制委員会に提出された機密報告書の一部がリークされたことで明らかになりました。

 それによると、BNDは一九八〇年代初めから昨年秋にかけて、『シュピーゲル』誌、ベルリナー・ツァイトゥング紙などの記者をBND協力者にし、同僚記者の取材内容を探っていました。記者に大金を支払い、情報提供を受けていたことも発覚。雑誌記者の電話を盗聴していたことも明らかになりました。

 監視されていたのは、BNDの活動について取材していた記者ばかりだといいます。

 BNDが国内で情報活動することは法律で認められていません。BNDの役割は、政治、経済、軍事の分野で外国の情報を収集・分析することだと定められています。

 十六日付各紙は、BNDのスパイ工作を強く非難。ベルリナー・ツァイトゥングの社説は「BNDという政府機関の実態について国民は知る権利がある」と主張しました。

 ウェルト紙は「報道の自由への深刻な侵害だ」と非難し、機密報告書の公開とスパイ活動にかかわったBND要員の辞職を求めました。

 『シュピーゲル』はBNDを相手に法的措置に訴える構えを示しています。

 ウアラウBND長官は十六日、報道機関へのスパイ活動について、「BNDの中心的な活動ではなかった」と釈明。記者への盗聴については否認しました。

 独ジャーナリスト協会と新聞社協会は政府に徹底した調査を求めています。強まる圧力のなか、連邦議会統制委員会のレトゲン委員長は十六日、来週までに機密報告書を公開すると発表しました。


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