2006年5月17日(水)「しんぶん赤旗」

自給率低下 農家切り捨て

農政法案撤回を

紙党国会議員団農水部会長に聞く(下)

価格・所得補償で農業再生


 ―小泉内閣は、なぜこんな法案を出してきたのでしょうか。

自由化にあわせ

  小泉内閣は昨年春に決めた農政の新基本計画のなかで、「貿易自由化の流れに対応し、…競争力の強化を図り、…国境措置に過度に依存しない政策体系を構築」すると強調しました。WTO(世界貿易機関)交渉などで農産物自由化をいっそう受け入れられるよう農政を「改革」するというのです。今回の法案は、それを具体化したものです。

 その背景には、工業製品の輸出や投資の拡大のため、農産物の輸入をさらに増やし、農業予算の大幅な削減を求める財界の強い意向があります。農産物市場の全面開放を迫るアメリカいいなりです。食料自給率の向上を真剣に追求する姿勢はありません。こんな農政に日本の農業と国民の食料の将来を託すわけにはいきません。

多様な担い手に

 ―党の見解の特徴は…。

  現場に混乱をもたらしている新しい「対策」を中止するか、最低限、実施を延期すべきです。新たな「対策」は複雑で、助成金の水準も決まっていません。農家の理解が得られていません。今秋までに「担い手」の登録を急がせるやり方にも無理があります。

 今後の担い手の確保は、やはり現実に生産を担っているさまざまな農家と、その共同組織を大事にする以外にありません。規模の大小で区別するのではなく、続けたい人、やりたい人を大事にし、農家経営の多くを可能な限り維持することに力を注ぐべきです。

 集落営農や各種の生産組織も、農家の営農を支える役割を発揮できるように援助すべきです。

 最近は、地産地消や直売所、都市と農村の交流などのとりくみに高齢者や女性、兼業農家などが元気に参加しています。自治体や農協など関係者が力を合わせ、地域農業の振興にとりくむなかで担い手を確保することを重視したいと思います。

食料主権の尊重

 ―もっとも大事な担い手の支援策はどう考えていますか。

  大規模経営をふくめ、農家が何よりも願っているのは、農産物価格の暴落に歯止めをかけ、とめどない輸入拡大を抑えることです。大規模稲作経営者の団体の代表も「米価がこれ以上、下がらない仕組みが必要」と訴えています。農政はこの切実な声にこたえなければなりません。

 日本共産党は、当面、生産費をつぐなう価格保障を基本にし、それを補完する所得補償も組み合わせて提案しています。

 米では、政府の100%拠出による不足払い制度を創設して、生産コストに見合う価格に近づけることです。

 こうした政策は、欧米諸国の多くでやっていることです。貿易拡大一辺倒のWTO農業協定を改定し、各国の食料主権を尊重する貿易ルールを求めていきます。

 いま各地の地方議会や農業委員会では、新たな「対策」の中止、価格保障を基本とした経営安定対策、すべての農家を対象にした支援策などを求める請願や意見書が採択されています。これを全国に広げ、小泉内閣の農業つぶしの悪政をやめさせたいですね。

 日本共産党は、そのためにみなさんと力を合わせて奮闘します。(おわり)


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