2006年5月14日(日)「しんぶん赤旗」

国連中心に紛争解決

EU・中南米首脳が共同宣言

国際法に基づき対処


 【パリ=浅田信幸】欧州と中南米の経済関係の緊密化や人権、民主主義の促進を目的とした欧州連合(EU)とラテンアメリカ・カリブ海(LAC)の首脳会議(EU・LACサミット)が十二日、ウィーンで開かれました。採択された共同宣言は、両地域の関係強化をうたい、多国間協力による国際問題の解決を強調しています。

 首脳会議には中南米三十三カ国とEU二十五カ国およびルーマニア、ブルガリアのほぼすべての首脳が参加。ブレア英首相やシラク仏大統領のほか、ベネズエラのチャベス、ボリビアのモラレス両大統領も出席しました。

 共同宣言は、第一回サミット(リオデジャネイロ)以来確認されてきた「両地域間の戦略的パートナーシップのいっそうの促進と強化」とともに、「国際法に基づく、国連を中心とした強力で効果的な多国間システム」の構築に取り組むことを確認しました。

 また「国連憲章に述べられた目的と原則」を守り、「すべての国家の主権の平等を支持し、領土保全と政治的独立を尊重し、国際関係においては国連の目的と原則に合致しない武力による威嚇または武力の行使を控え、平和的手段による正義と国際法の原則にのっとった紛争の解決を支持する」と宣言しています。

 首脳会議の焦点の一つは、ボリビアが五月一日に明らかにした天然ガス国有化問題でした。

 EUではスペイン、フランス、英国などの多国籍企業がガス資源開発に投資していますが、ボリビアのモラレス大統領は首脳会議前に、国有化による「多国籍企業への補償はしない」と発言しました。

 これに対しEU議長国オーストリアのプラスニク外相が「問題を明確にすべきだ」と要求。ボリビアの天然ガス開発で最大投資国のブラジルも抗議に加わりました。

 これを受け、モラレス大統領は、第二の投資企業を抱えるスペイン外相あての書簡で、各国の求める投資企業の「法的安全」を保証することを明らかにしました。

 共同宣言では「天然資源を管理し規制する各国の主権的権利を承認する」と明言する一方で、「バランスのとれた貿易の枠組みと(関係国間で)両立できる規制制度の確立に向けた協力の強化」がうたわれ、両者の妥協点を探る方向性が打ち出されました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp