2006年5月13日(土)「しんぶん赤旗」

米政府、通話記録を収集

「テロ対策」口実

通信3社が情報を提供


 【ワシントン=山崎伸治】二〇〇一年九月の同時多発テロ直後から、米国家安全保障局(NSA)が「テロ対策」を口実に、米国内のすべての電話の通話記録をデータベース化していることが明らかになりました。電話会社に情報の提出を要求し、最大手三社がそれに応じていました。十一日付の米紙USAトゥデーが、関係者の話として報じたものです。

 利用者の名前や住所などの個人情報は含まれていないものの、米国内でどの番号からどの番号にいつ電話をかけたかの記録が提供されていました。通話のパターンを分析することで「テロ容疑者」を特定するのだといいます。

 NSAに協力していたのはベライゾン、ベルサウス、AT&Tの最大手三社。利用者は二億人以上にのぼります。NSAは同時多発テロ直後、「協力には報酬を支払う」として、電話会社に情報の提供を要求。その後も更新した記録の提供を受けているといいます。

 米国の「通信法」は電話会社に対し、利用者の通話記録を提供することを禁止しています。電話会社のなかには違法であることを理由に拒否したところもありますが、NSAは全米をカバーするため、執ように情報提供を要求したといいます。

 NSAをめぐっては昨年十二月、ブッシュ米大統領が法的手続きなしに、国内在住者を対象とした電話盗聴や電子メールの傍受を許可していたことが明らかになりました。その際ブッシュ氏は違法盗聴を認めましたが、今回明らかになった通話記録の集積については何も述べていませんでした。

 この問題について、ブッシュ氏は十一日、声明を発表。通話記録の集積を認めたうえで「罪のない米国民の個人生活を探りまわっているのではない」と述べ、「テロ防止」が目的だと強調しました。

 次期中央情報局(CIA)長官に指名され、通話記録の集積を開始した時のNSA長官だったヘイデン国家情報副長官は同日、記者団に「NSAが行うことはすべて合法であり、慎重に実施される」と述べました。

 NSAによる違法盗聴を追及してきた「米市民的自由連合」は同日、ブッシュ大統領を非難し、この問題を議会が調査するよう要求する声明を発表しました。


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